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劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)座長の三宅裕司。稽古場に看板俳優の小倉久寛といっしょにいるだけで、思わずこちらの笑いがこみあげる、人懐こい笑顔がトレードマークだ。
「この夏、茅ヶ崎へサザンオールスターズのコンサートに行ったんですよ。終演後、桑田佳祐(けいすけ)の楽屋を訪ねたら、全力を使い果たして抜け殻状態。死の淵をさまよってから、酒もたばこもやめてトレーニングを重ねてきたんだろうな。よくわかりますよ、あと何年、歌えるだろうかという気持ち」
彼自身も2年前、腰部椎間板ヘルニアと突発性脊柱管狭きよう窄さく症で緊急手術を受け、治療とリハビリのため半年間の休養を取った苦い経験がある。
「だからこそ、今、改めて、舞台を創(つく)るのは楽しいと感じています」
もうすぐ幕が開く舞台『スキャンダラス列島 〜whata wonderful world 〜』では、新進気鋭の脚本家を迎え、劇団に新しい風を入れる。
「じつはね、20年ほど前から考えているテーマがありまして。それのシノプシス(あらすじ)を考えて、信頼できる脚本家に託したんです。SETらしいミュージカル、アクション、コメディ、そして大どんでん返しも楽しみにしてくださいよ」
舞台は、写真週刊誌の編集者と売れない歌手、その歌手を抱える芸能事務所の駆け引きを面白おかしく描く。誰をどう利用し、落ち目の歌手を復活させるか……。
人間の汚い部分が凝縮した、芸能界の物語を、SET得意の歌とダンスと音楽ギャグをちりばめて見せる。三宅は、歌手を復活させようと躍起になる、芸能事務所の社長に扮(ふん)している。
「スキャンダル関連の本を読んで勉強しました。その中で、スクープ写真に関していろいろ発見がありましたよ。そんな、取材合戦の中での知られさるエピソードを、物語にも織り込みました。俺ね、独身時代、近所で週刊誌のカメラマンとばったり会ったことがあるんです。『三宅さんもこのへんに住んでるの? おいしいネタがあったら、撮らせてよ。じゃ、気をつけてね』って言われて(笑)」
もし自身が落ち目になったら、何としても復活したいものなのか聞いてみると、間髪入れずに答えが返ってきた。
「60歳を過ぎてますから、もういいです(笑)。実際、突っ走りすぎて大病したと反省してますからね。だけど、入院してよかった面もありました。自分の人生をゆっくり考える時間ができ、自分は軽演劇を継承するために生かされているんだ、とわかってきたから」
尊敬する伊東四朗をはじめ、渡辺正行、春風亭昇太、東貴博らと『伊東四朗一座』を結成、『熱海五郎一座』もけん引している。テレビでは、月に1度の『コントの劇場』(NHK‐BSプレミアム)が好評。ドラマのロケの合間にも、撮影場所で1人になれる空間を探しだしては、ひたすら台本を修正しているという。寝て
も覚めても、コントやギャグのことで頭がいっぱいだ。
「明け方、トイレに起きると『これだ! 小倉に言わせると爆笑だろうな』というアイデアが浮かんでくるんですよ。まさに〝出た〞瞬間の気持ちよ!(笑)こうして、練りに練った台本で演じながら、観客の笑いの渦の中にいるときほど、楽しいことはないですねぇ」
演劇以外にも、念願だったビッグバンド「三宅裕司&Light Joke Jazz Orchestra」では、’14年2月のライブのための細かい打ち合わせが始まる。つねにいくつもの仕事を並行して動かしているのだ。
みやけ・ゆうじ

’51年5月3日生まれ、東京都出身。’79年にSETを結成。東京の喜劇界の先頭に立ち、近年では伊東四朗座長の「伊東四朗一座」のメンバーでもあり、伊東が出演できないときは「熱海五郎一座」の座長を務める。また俳優としてドラマ、映画で活躍する一方、ラジオのDJやテレビ番組の司会も務めるマルチエンタティナー。現在、『コントの劇場』のほか『落語小僧』(BSフジ)に出演中。

舞台『スキャンダラス列島 ~what a wonderful world~』

第51回本公演東京公演/11月14日(木)~12月1日(日)、サンシャイン劇場にて。金沢公演/12月13日(金)、金沢歌劇座にて。詳細はSETのオフィシャルサイト(http://www.set1979.com/)へ