9月18日、ついにメジャーデビューシングル発売を迎える大森靖子。女性自身掲載記事取材の際に行ったインタビューの完全版をお送りします。

Vol.1

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――この夏は、怒涛のライブツアーだったんですけれども、インディーズからメジャーにデビューすることが決まって、ライブへの向かい方とか気持ちが変わったりはしましたか。

 

大森靖子:特に夏フェスに出るっていうことで、なんか色んな方が出てらっしゃるじゃないですか。で、まあステージもいっぱいあって、自分を選んでもらわなきゃいけないっていうときに、やっぱり名前が売れてないので、ひたすら名前を売るために夏フェスに出ようと思って。その巻き込む、お客さんを巻き込むための工夫とかは凄い考えましたね。

 

――動画をみると強烈なピンクで色んなところに出没していましたけれど、ピンクを自分のイメージカラーに決めたっていうのはどういうところで。

 

大森靖子:ずっとピンクのものとかを買っちゃいけないと思っていたんですよ、自分が。それはなんか、可愛い子が買うものだからとか、こういうものは自分は持っちゃいけないみたいな風に思っていて23、4歳まで生きてきたんで、なんかある種、25歳くらいのときに開き直りみたいなのがやっぱりあるじゃないですか。服とかもずーっと真っ黒なワンピース着てて、もう喪服みたいな。

その時に、やっぱりなんか爆発しちゃったんですね、なんかそれが。そういう気持ちがありますね。でも自分がやったら、ピンクがピンクなのに可愛いピンクにならない気がするみたいなのもあって。でもなんかピンクってわざとらしい色じゃないですか。花とかだって、頑張って咲いて、凄いピンクになるとか。

そういう色なのに、肉とか内側切ったりとかしたらピンク色だったりとか、人間の内側ってピンクじゃないですか。極限まで内側のものと、極限までわざとらしく頑張って作った外側のものっていうのの色っていうところで、なんか0か100かじゃないですけど、そういうわざとらしい仰々しいものみたいなのが凄い好きで、何事も。

 

――我々からすると大森さんのスタイルってほんとロックスターだと思うんです。アイドルとの間をやすやす超えていくようなスタイルだと思うんですけども、ご自身では大森、この大森スタイルってどのように思われていますか。

 

大森靖子:何でもできるからいいんですかね、やっぱり。基本的にメロディーと歌詞と声がやっぱり自分だと思ってるから。その付随する部分って面白いことするんでも、なんにもしないでも、ちょっと可愛くするでも、可愛げなくするでも、なんでも良くて。逆に、ほんとは、どこでもいいっていうことなんですかね。

別に自分から行こうとしてるわけじゃなくて、色んな人が面白がって、その変な世界に入れたみたいな。なんか出てみる?みたいに言われて、あ、じゃあ出れるんだったらみたいな感じで。そうですね、面白がる人がいたのが良かったですね。自分もそれを一緒に面白がったので、一緒になんか大森靖子こんなことしたら面白いなみたいなのを、色んな大人と一緒に面白がったみたいな。

Vol.2

――これだけのオリジナリティーって、今の時代って逆に言えばオリジナリティーを出しづらい、没個性な時代だったりするじゃないですか。音楽界もわりと同じようなタイプの人がいる中でこれだけ強烈にオリジナリティーを出せるというのは、今まで影響を受けたものとか、自分の中で理想があったりしたんですか。

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大森靖子:いっぱいあるんですけれど、逆に影響を受けているって今言いづらい時代だと思うんですよ。それを恥ずかしいとかダサいとかそういう概念を全部捨てたっていうのが、その自由とかオリジナルなステージとかに繋がってるんだと思う。この言葉は言うのが恥ずかしいとか、こういうことは誰かがやっているから自分はもう出来ないとか、別にそんなことなくて、誰かがやっててもやっていいし、全然、何もやっちゃいけないことなんてないじゃないですか、まあ芸術の上でですけど。

社会のルールとかいっぱいありますけど。それがやりにくい時代だと凄い思います。すぐ自分に利益不利益関係ない口だけの人がどんどんどんどん自分に意見をふりかけてくる時代じゃないですか、インターネットとかで。で、それで委縮しちゃう人が多いっていうのは凄い勿体ないなあって。

 

――でもインディーズからメジャーにデビューするとそういうことが前よりも一層来ると思うんです。そこに対しては大森さんは、逆にそういう攻撃に対する防御とかは?

 

大森靖子:今は楽しめる、何に関しても。そういう攻撃とかはあんまり自分より面白い言葉で言ってくれる人がいないから。傷つくのって、やっぱり予想外の言葉とか、予想外のものじゃないですか。それがだんだんなくなってきて、ほんとに何も傷つかなくなってきちゃって。むしろ求めてるっていうか、面白いこととか。面白いことと本当のことが、もう自分の中で圧倒的になんか正義なんですよ。それに勝てるものがないから、それをずっと探してますね。

 

――そういう意味でいうと嫌いなものの筆頭にバンドマンが入ってましたけれども、そこらへんは……

 

大森靖子:つまんないから。そう。なんか、もう自分の中で可愛い人が美しいんですよ、で、バンドマンとか自分と同等なんですよ。自分は可愛くない分、音楽を頑張らなきゃいけないとか、こういうことしなきゃいけないとか、そういう創意工夫みたいなのを凄いずっとやってきたから、なんでお前らは私と同じで可愛くもないし、見た目もそんなになんか女子ほど綺麗じゃないのに頑張んないのみたいな。

自分と同じを求めちゃうので、そうするとやっぱり結構努力してきたから、人の事を怠けてるなって思っちゃうんですよね。意外にアイドルフェスとかに出てみると、アイドルの方が自分に近かったっていうのにびっくりして。裏側になっちゃうんですけど。あ、この人たちってこんなに頑張ってるんだって思って。びっくりしましたね。大森さんの音楽聴きます、CD持ってますとかって声かけてくれたりとかもあって。同じように戦ってるから、やっぱりつい共感しちゃうってことじゃないですか。こんだけ戦ってる子たちなんだと思って。もうただでさえ努力する必要がないと思ってた子たちが、そんなに頑張ってるんだから、底辺が高い人に頑張られたら、もう勝ち目ないじゃないですか。

 

――確かにアイドルはみんなそうですよね。例えばアップアップガールズ(仮)……彼女たちは一回ゼロになってますからね。

 

大森靖子:そうなんですよね。

 

――ゼロからもう一回出るっていうのは大変ですよね。

 

大森靖子:大変ですね。

Vol.3

――どうでしょうね、こうギター一本のライブのときと、バンドスタイルと大森さんの中で違いとかあったりしますか。

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大森靖子:違いますね。やっぱりバンドの音って、おっきいじゃないですか、普通に。で、こうやっぱり作っていったものを全部与えることが出来るっていうか。その代わり、高圧的なんですよ、バンドのライブとかって。エレキギターって暴力だし、なんか音って暴力なんですね。

で、その音に制圧されるじゃないですか。でも弾き語りって言ってもちっちゃいんで、どんなに爆音にしても、やっぱりなんかちっちゃいんです。音数少ないし、6弦しかないし。で、でもまあ色んな音は出せるし、どんな空間にも対応できる楽器なんですけど、なんかコミュニケーションがとれるんですよ。その偶発的に起こった…ちょっと喋ってる人とか、ちょっとだるそうな人とか、ちょっと感動してる人とか、泣いちゃった赤ちゃんとか、空調うるさいとか、バーカウンターのジュース作ってる音がうるさいとか、フェスとか出たら隣のステージの音が聴こえて、自分の音じゃ太刀打ちできないとか。

そういうのが凄い楽しくて。バンドでやるときはセットリストを全部決めていくんですね。こういうステージにしようって言って、その準備通りになるのがやっぱり良いライブにつながるんですけど、弾き語りは絶対そんなことなくて。その空間で起こったことに対して、じゃあこれを返すっていう、そのスピード感とコミュニケーションの連鎖で、×お客さんの人数みたいなことでライブが作られていくから、弾き語りは自分にしか作れない楽しさが絶対あると思います。

 

――大森さんのギターの弾き方ってやっぱり凄い特徴というか、インパクトが相当強いと思うんです。ソロで弾かれてるのを見て、凄いなこの音と思ったんですけれど、あのギターのカッティングとか音作りはどういうところから大森スタイルが出たんですか。

 

大森靖子:もうライブ重ねてだんだんですね。でも、最初はずっとただ大きい音出してたんですよ。ライブっていうものを大きい声を出して大きい音を出す大会だと思ってて、そういうストレス解消する場だと思っていたんですね、最初3年ぐらい。まあそんなことは、だんだんそうなくなってくるじゃないですか、お客さんとかも来てくれて。なんか恥ずかしかったから、髪とかもずっと後ろの髪こうやって顔かくして、下向いて、なんか地べたにしゃがんで歌ってるみたいな感じだったんですよ、最初。

でも来てくれる人が感想言ってくれたりするから、じゃあ私も一生懸命向き合わないと失礼だと思って、顔とかも出すようにしたし、そういう方向に変えていったんですよね。で、この音だと思いますね。なんかこういう音欲しいかなとか、もう普通に眠かったらデカい音出せば起きるじゃないですか。で、そのでかい音に慣れたらちっちゃくしていくとか。そういうの重ねてきたっていう感じですかね。あんまり人がギター弾いてるのとか、そんなに見たことない。

 

―― 一発目の音がやっぱ強烈ですよね。あの音聴くとさすがに誰でも目覚めるというかね、うっていう感じには。なんかこう胸を突き刺されたみたいな。

 

大森靖子:あの音はあのギターを買って、最初に試聴室でジャって鳴らして感動した音を再現しようっていうのはずっと思っていて。結構、最初の段階で高いギターを買ったんですよ。やっぱりミュージシャンって音の一部だから、楽器はだいたいその音に呼応する音楽が作られていくわけだから、早めに高いギター買った方がいいんですよ。だから、それを再現したいってずっと思ってました。やっぱり感動したから。その音をみんなにも聴かせたいし。

大森靖子 メジャーデビューシングル『きゅるきゅる』
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■CD 1,000円(税抜き)
1、きゅるきゅる
2、私は面白い絶対面白いたぶん
3、

■CD+DVD 3,500円(税抜き)
<CD>
1、きゅるきゅる
2、私は面白い絶対面白いたぶん
3、

<DVD>
1、きゅるきゅる
2、絶対少女ツアーファイナル
3、恵比寿 LIQUED ROOM

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