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又吉直樹が芸人初の受賞で大いに沸いた’15年上半期の芥川賞。同時受賞した若き作家は聖飢魔IIのデーモン閣下風メークで受賞の報告を待っていた一風変わり者。隔週連載《中山秀征の語り合いたい人》。今回は『スクラップ・アンド・ビルド』で受賞した羽田圭介(30)の人となりを掘り下げる。

 

中山「羽田さんは17歳のとき、『黒冷水』という作品で文藝賞を受賞なさってますよね。いつごろから小説を書き始めたんですか?」

 

羽田「僕は明治大学付属の中学校に入学して、埼玉の実家から御茶ノ水の校舎まで、2時間弱かけて通っていたんですね。通学の時間には本を読んでいたんです」

 

中山「お好きだったんですか?」

 

羽田「といっても、教室で本を読むタイプではなく、時間をつぶすために読んでいたので、文学少年ではなかったですね。中学生のときに、椎名誠さんの旅行エッセイを読んだり、小説家になるためのハウツー本を見つけて、小説家に憧れた原体験はありますが、実際小説を書くという衝動に突き動かされたのは、高1のとき。当時高3の綿矢りささんが芥川賞を受賞して、自分と同じ高校生が、小説家デビューしているのに衝撃を受け、『あぁ、先を越された……』と焦りまして。純文学の文学賞受賞作のバックナンバーを片っ端から読んで、傾向をつかんで対策を練りました。はじめて応募した作品が受賞したんです」

 

中山「処女作だったんですね!どういった内容なんですか?」

 

羽田「兄弟がお互いの机をあさり合う話です。兄の机でエロ本を探していた弟が、兄の仕掛けたわなにハマるなど、兄と弟の視点が交互に入れ替わるチマチマした攻防戦です」

 

中山「兄弟はいるんですか?」

 

羽田「弟がいますが、実際の兄弟関係というよりは、男子校だった影響が強いかもしれません」

 

中山「ご家族の反応は?」

 

羽田「驚いてましたね。ひどいケンカの話で、けっこうドギツイ内容だったので、最初両親はショックだったようです」

 

中山「本好きのご家庭なんですか?」

 

羽田「いえいえ、まったく読まないんですよ。父はシステムエンジニア、母は機械の図面を引く仕事をしていますし、弟も薬学部に進学したので、僕以外、家族全員が理系なんです。家には父のコンピュータ関係の本しかなかったですね。僕だけが超ド文系なんですが、本を読み始めたのも、勝手に自分から進んでやり始めたこと。そうなると、教育って何だろうと思います(笑)」