伊藤「東村さんの連載は読んでました。写真付きで、すごいよね」
東村「『腹痩せ』の回、私の腹のビフォー写真、ヤバくなかったですか?『VOCE』だから、フォトショップとかで、めっちゃレタッチ入れてくれると思っていて。でも、甘かったですね」
伊藤「あ、ここまでやるんだ!って思った。でも太っていても美しい、出していいおなかだったよ。プロ意識を感じたよ」
マンガ家・東村アキコさんが『VOCE』(講談社)誌上で、体当たりで「顔痩せ」などの施術体験に挑んだ連載『即席ビジンのつくりかた』が単行本として刊行された。一方、マンガ家・伊藤理佐さんの、ラクしてキレイになりたい女心を描く『女のはしょり道』も同誌連載7年目に突入。そんな、ベクトルは異なれど、美への近道を模索中の2人の対談が実現!
東村さんは『即席ビジンのつくりかた』で「脚痩せ」「腹痩せ」から注射系まで施術をガチ体験。その結果やいかに−−。
東村「美容サロンの先生たちが同い年とか、年上で、すごいキレイでいかにもメンテナンスが行き届いているので。そういう人に会うと意識が変わらざるをえなかったんです」
伊藤「そんなものなのね。いろいろ改まったの?」
東村「連載終わってからは、続けているサロンもあるけれど、頻繁には行けないんで、ジョギングをはじめたんです。普通マンガ家がジョギングってありえないですよ。私、小学生から高校までずっと冬のマラソンの風物詩だったんです。アキコちゃんがビリのゴールを見ないと年を越せないって言われていたくらい」
伊藤「あはは。みんなでゴールを待っているみたいな?」
東村「『アキコ!アキコ!』みたいなコールで迎えられるんです。そんな私がどうしてかというと、K-POPの『2PM』のファンなんですが、そのコンサートに行く3日前に、『どうしよう痩せられない!』って焦って。もう走るしかなかったんです」
伊藤「ほー。そんな動機があったんだ」
東村「でもおかげで、ある朝、起きてちょっとモノを取ろうとしたら、ギクッ!と。ぎっくり腰やっちゃったんです」
伊藤「そういうオチがつくんだ(笑)。大変でしたね」
東村「マンガ家って基本、家の中にばかりいるから生命体としておかしいじゃないですか?足腰が退化しますよね。あまり人に会わず化粧もめったにしないし」
伊藤「あまり紫外線を浴びないからマンガ家はお肌がキレイな人多いですよね」
伊藤さんの旦那さん(マンガ家の吉田戦車氏)はナチュラルメークが好きというようなことを『女のはしょり道』でも描いていたが−−。
伊藤「あれはすごく勘違いしていて。ナチュラルメークが好きなんだろうけれど。それを彼はすっぴんだと思っているの。彼の中では化粧をしているのはちゃんとアイシャドーなんかをしている人。それ以外はメークってわからない。家族からメークとかファッションを褒められると、モチベーションって上がる?」
東村「うちの息子がすぐ気づいてくれるんです。『まま、今日の髪いいネ。サラサラになったね』とか」
伊藤「ああ、あの『即席ビジンのつくりかた』連載で取り上げていたヘアサロンね。あの施術はすごかったね。写真でもわかったくらいサラサラになったもの」
東村「女は40過ぎたら顔じゃなく髪なんですって。髪さえちゃんとしていたら美人というくくり。だから銀座のママさんっていくつになっても髪をビシッとセットしているじゃないですか?大人の女性は髪に敬意を表するということらしいです」
伊藤「なるほどね〜。毛はそれまでの生活の結果だからね。年をとったら髪の毛かぁ」