「私が演じる彩は、正社員を辞めてしまって。ちょっと人生間違っちゃったって感じがするんですけど、彼女は彼女なりに自分らしく生きていきたいという思いがある。脚本を読んだとき、そういう彩を支える伊藤さん役にはリリー(・フランキー)さんしかいないと確信して。リリーさんに決まったと知ったとき、この映画は絶対に面白くなると思いました。お父さん役の藤竜也さんは熱心に役作りをされる一方で、とってもチャーミングなところがあって」
そう語るのは、10月8日公開の映画『お父さんと伊藤さん』で20歳年上の恋人・伊藤さんと暮らす34歳の女性・彩を演じる、上野樹里(30)。そこに彩の父親が転がり込み、奇妙な同棲生活が始まる−−。5月に結婚したばかりの上野にとってもタイムリーな、“家族”の物語だ。
「結婚していちばん変わったのは、家に帰って来たときの明るさですね。誰かが家にいてくれたり、これから誰かが家に帰ってきたりする、と思うと力が湧いてくるんです。“じゃ、帰ってくる前にひと頑張りして、お買い物や用事を済ませておこう!”とか。それで家に帰ると、楽しい会話があって。これまで独りでいた時間がすごくもったいないって思いましたね。独りでいていろいろ考えていたことってすごくつまらないことだったなと。自分の中にない意見や客観性を知ることで、どんどん世界が広がっていく。思いつきの言葉で会話ができるのはパートナーならではのよさですね」
これまで、一緒にご飯を食べに行く人がいないときは、“明日の朝、仕事の現場にご飯が用意してあるからいいや”と、夕食を抜いたり、家で適当なものを作って食べたりしていたという彼女だったが……。
「結婚して食事の大切さに気付いて。夫が遅い時間に帰ってきたときは軽めの食事、次の日がライブのときは酸素がたくさんとれる食事など、健康を意識して作るようになりました。今回の映画でも、主人公はいつもがっついてご飯を食べるんですが、彼女のように落ち込んでいてもご飯はしっかり食べる、みたいなことは大切だと改めて思います。最近、作った料理は(平野)レミさんのアボカドバーグ。料理本では、レミさんの『わたしの和だし』を参考にしています」