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「子どもたちはエネルギッシュで稽古場はいい雰囲気。子どもの存在って大きいよね。稽古初日に『勇気があったらマルちゃんって呼んでね』と挨拶したら、みんなすぐにそう呼んでくれるようになりました」

 

こう語るのは、今年のミュージカル『アニー』で孤児院の院長ミス・ハニガンを演じるマルシア(48)。『アニー』は、日本での公演32年目にして原作に立ち返り、すべてを新しくするそうだ。

 

「やりがいがありそうなうれしい役でございますよ。私らしいエネルギーを爆発させようかな。演出家をはじめすべて変わるので、とても楽しみです」

 

ミス・ハニガンはいつも不機嫌で子どもたちを叱りつけている。

 

「怒ってばかりでコワい先生という印象をつけたくないな。なんで子どもたちに対してそんな態度をとるのか。実は、いつかは結婚して子どもをもちたいという女としての願望の裏返しじゃないかな。孤独だしね。だから強さだけを表に出してしまう。山田和也さんの演出で、ハニガンは私の中で生き始めました。どの作品でも初日の幕が開くまで役が私の中に降りてこないんですけど」

 

10代でブラジルから日本に移り住み、歌手としてデビューしてからずっと走り続けてきたマルシアは、5年ほど前に1年半の休みを取った。

 

「人生いろんなことがありますよね。ありすぎちゃってどうするんですか、っていうくらい。大事なのは、前進するためにどんな状況であれ諦めないこと。そうすれば必ず次に行ける。アニーみたいに“今はつらくても、明日になれば”と前向きに切り抜けるの。でも、今抱えてるこのつらさを通らなきゃいけない。それはね、しょうがない。人間・マルシアがこれまでの人生で諦めそうになったことは1回だけ。人間であること以外のすべてを捨てて新たな自分への一歩を踏み出そう、と。あれは自分をもう一回見直すための時間だったな、って今は思う」

 

人生の局面で冷静に切り替える力を身につけた。

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