「僕は昔、人相が悪くてね。飲み友達から『髪形をもっとかわいくして、メガネでもかけて漫画チックにしたら』とアドバイスをうけて、この髪形を始めたんですよ」
そう語るのは、芸歴48年で、おかっぱ歴43年。芸能界に初めて、“おかっぱ”を持ち込んだといわれる司会者の大木凡人さん(72)。広辞苑によると“御河童”とは、“前髪を切り下げ、後髪を襟元で切りそろえた少女向きの断髪”。文字どおり、妖怪の河童に似ていることから、こう呼ばれるように。
いま、ブルゾンちえみさん(27)をはじめ、ハリセンボンの近藤春菜さん(34)、おかずクラブのオカリナさん(33)など、おかっぱ頭の芸人をテレビで見ない日はない。なぜ、おかっぱは愛されるのか。元祖“おかっぱ芸人”に話を聞いた。
凡人さんがおかっぱ頭になったのは’70年代。
「それまで慎太郎刈りや、リーゼント、アイロンパーマなど、いろいろな髪形をやっていました。この髪形をやり始めた当時は、ビートルズのマッシュルームカットとかもはやったからいいだろうと思ったんですが……。何年かたったら、まわりにこんな髪形の人はいなくなってしまいました」(大木さん・以下同)
おかっぱの見た目のインパクトも手伝って、司会者としてテレビの人気者になった。だが、こんな弊害も……。
「女みたいだと言われて嫌なこともあってね。昔、髪の毛を金髪にしてみたことがあるんですよ。そうしたら、番組の偉い人に、『凡ちゃんと言えば、おかっぱでメガネだから、金髪にしたらイメージが合わないので、黒に戻してくれないか』と言われてしまって。けど、『いえ、私はこれでいきますから』と言ったら1カ月後に番組を降ろされてしまって(笑)」
凡人さんは“おかっぱ”として生きていく決意を固めた。
「漫才ブームのころ、B&Bの洋七さんや阪神・巨人さんもおかっぱにしていたこともある。でも、彼らからも『凡人さんがおかっぱの元祖や!』って言われていましたよ」