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「この役を通じて、自分の人生を大切にしなくてはと改めて思いました。もし明日死んでも後悔しないように……」

 

そう語るのは、映画『おみおくり』(全国ロードショー公開中)で、主役の女性納棺師・弥生を演じた高島礼子(53)。原案は、現役女性納棺師によるブログ本だ。亡くなってから火葬までに遺体に死に化粧を施し、生前に近い姿に戻すのが納棺師の仕事。納棺シーンは実際に原作者のアドバイスを受けたという。弥生はつらい過去を持つ、元エステティシャン。

 

「弥生がなぜ納棺師になったのかという過去のエピソード、その罪悪感を表せたらと思いながら演じました」(高島・以下同)

 

夫に自殺された妻、幼い娘を地震で亡くした母、一家の大黒柱を交通事故で亡くした親子……。死者をおくる7家族のエピソードがつづられる。

 

「この映画の本当の主役は、おくる側の家族たちです。愛する人の最期の顔は家族に一生残ります。もしそれが事故で傷ついて悲惨な顔ならば、それがずっと脳裏に焼き付いて、残された人の人生が変わると思います。ですから納棺師の仕事はとても大事。ご遺体を生前の元気なころの姿に戻すことができれば、故人の幸せな顔が家族に一生残るのですから」

 

劇中、幼いころに両親を交通事故で亡くし、ずっと後悔に苛まれる女性に向けた言葉がある。“申し訳ないと思っているのは亡くなった両親のほう。成長する姿を見守ってあげられなくて”、と。

 

「この言葉に私自身が救われました。私は母を20歳のときに亡くしずっと後悔しているんです。もっともっと親孝行ができたのではないだろうかと。入院中の母に成人式の振り袖姿を見せることはできましたが、その年の5月に亡くなりました。まだ46歳でした。自分が母と同じ年になったとき、母はまだこんなに若かったのかと……。今は母にできなかったことをとことん父にしてあげたい。おかげさまで父は長生きをしてくれて、現在93歳になります」

 

納棺師は、遺族のためにこそ必要だと語る。

 

「ご遺体が血色のいい幸せそうなお顔をしていれば、『それなりにいい人生だったと、きっと満足していたよね』と家族も納得できると思うからです。遺された人たちはこれからも生きていかなくてはならないのですから」