俳優の三宅裕司が’06年に旗揚げした「熱海五郎一座」。東京の喜劇を追求し続け、新橋演舞場に進出して5年目を迎えた。レギュラー出演陣には渡辺正行、ラサール石井ら笑いのプロが勢ぞろい。今年はゲストとして演歌界の大御所・小林幸子(64)が花を添える。
「9年前に、青山劇場での公演に初めて出演させていただいたんですよ。自分の出番を終えて舞台のソデに引っ込んでも、まだドッカーン! とウケている。あの笑いは気持ちいいですよね。最近は若い人だけ、女のコだけと、ウケる層が細分化されてきていますけど、この一座は子どもも大人もおじいちゃんも一緒に抱腹絶倒できるんですよ。ギャグを考え、演出をされる三宅さんは天才!!」(小林・以下同)
今年の演目は『船上のカナリアは陽気な不協和音~Don’t stop singing~』(6月1~28日)。小林扮する千夜子は、演歌界で活躍していた大物歌手。パトロンの政治家と豪華客船でバカンスに。その船には秘密や事情を抱えた観光客らが乗り合わせていて、密室状態の船内では、次々にトラブルが。
「伊東四朗さんがおっしゃってました。『喜劇役者はきちんとした芝居ができなきゃダメ。台本どおりに演じればギャグは光るから』って。亡くなられた喜劇俳優の由利徹さんも『世話ものの芝居でちゃんと泣かせて、舞台が暗転する直前にドカンと笑わせる。すると、暗転の間、お客さんは泣きながら笑ってる。これができたら、最高だ』と。喜劇の中のペーソス(哀愁)って、効きますよね。喜劇って笑わせるだけじゃないんですよ」