「拍手の質というか、声とかがおつきあいの類いじゃなく、本当に感動してくれている。人の心に届いている感じがしました。全然もらってもおかしくない感じでしたね」

 

そう語るのは、主演映画『万引き家族』(6月8日ロードショー)が、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得したリリー・フランキー(55)。演じるのは、年金目当てで老母の家に転がり込み、生活雑貨は万引きでまかなう一家の主人・柴田治。是枝裕和監督の作品では『そして父になる』につづいての父親役だ。

 

「『そして父になる』のときは、品はないけど包容力のあるお父さんでしたが、今回は子どもと友達のような感覚。是枝さんからは『リリーさんは最後まで成長せず、“でくのぼう”でいてほしい』と」(リリー・以下同)

 

思い浮かんだのは、自伝小説『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』での父親の姿であった。

 

「息子の祥太が、この人大丈夫かな? という目線を治に向けるシーンは、昔、自分が父親に感じたことを思い出しながらやりました。祥太の気持ちはわかるから、彼がその目をしやすいように」

 

是枝監督は、子役には台本は渡さずに、口頭でセリフを伝える。今作でも、城桧吏と佐々木みゆ、2人の子役から演技を超えた現実感が引き出されている。

 

「チビ2人がすごく雰囲気があるんですよ。今回、僕はいればいいだけというか、子どもたちと、松岡茉優、安藤サクラ、樹木希林という3世代の“化け物女優”の芝居に引っ張ってもらってるだけでした」

 

妻・信代役の安藤サクラとは、濃密なラブシーンも演じている。

 

「是枝さんの映画であんなにケツを出すとは(笑)。人の家の親の性行為を覗き見たような気持ち悪さが伝われば光栄です(笑)」

 

この作品に参加して、あらためて家族についても考えたという。

 

「お金の問題、教育の問題、それぞれの性の問題や生き死にまで、家族というのはすごい小さな器にとんでもない情報量が詰まっている集合体なんだなって」

 

イラストに文筆、ミュージシャン……と、多彩な顔を持つリリーだが、近年は俳優中心の生活と思いきや……。

 

「全然、本当に一年のうちの半分もやってないですよ。物書くのが忙しいときもあれば、撮影がずっと続いている時期もあるので、何がメインというより、そのとき何で食ってるかということなんでしょうね。改めて考えれば不安定な業態ですね」