「春ごろにそろそろ(『NEWS ZERO』卒業)という話が日テレさんサイドからあったのですが、話し合いの上で全然トラブルもなく円満に決まりました」
本誌にこう明かすのは、9月いっぱいで報道番組『NEWS ZERO』(日本テレビ系)を卒業する、村尾信尚キャスター(62)。官僚出身の村尾氏は06年の放送開始以来12年間、『NEWS ZERO』のメーンキャスターとして同番組を支えてきた。そして今回の卒業発表を受け、6月中旬、自身が教授を務める関西学院大学の東京丸の内キャンパスで取材に応じてくれた。
12年間のキャスター人生を振り返るなかで蘇るのは、06年から10年まで同番組のキャスターを務めた故・小林麻央さん(享年34)との思い出の数々。
「ちょうどもうすぐ一周忌になるんですよね……。彼女は、常に自分のことよりも他人のことを考える人でした。とくに乳がん闘病を公表してからは、同じ病気の患者さんたちのことも考えてブログで発信していましたよね。自分の命や人生を、世のため人のために使っているという意識があって。あの若さではなかなかできることではありませんし、同業者としても尊敬してやみません」
また、生前の麻央さんとの間にはこんな“交流秘話”もーー。
「彼女は僕の話をよく聞いてくれました。僕も受け売りなんですが、麻央さんに《人間にとって名誉なことは、決して倒れないことではなくて、倒れるたびに起き上がることだ》という言葉を贈ったことがあったんです」
16年に開催された『ZERO10年写真展』では、麻央さんはこの村尾氏の言葉を紹介。当時乳がん闘病中だった彼女は、《村尾キャスターが教えて下さった言葉が、いつも私の支えになっています》というコメントを添えている。
「ああ、そうやってちゃんと覚えてくれていたんだなぁって。彼女ってそういう人なんですよ。彼女はテレビで観ると存在感もあって華やかなんですけど、僕にとっては爽やかな春風のような人でした」
天国の麻央さんも、村尾氏の今後を応援していることだろう。