「よろしくお願いします!」と、取材現場に入ってくるなり固い握手を交わされた。“熱量の塊”それが満島真之介(29)の第一印象だ。そんな彼が最新作で演じる役は、なんとブラッド・ピットである。

 

「ブラッド・ピットも本人の役はやったことないでしょうから、たぶん世界初です。本人に連絡しなきゃですね(笑)」(満島・以下同)

 

映画『君が君で君だ』(7月7日ロードショー)は、1人の女性を10年間見守り続けた3人の男の恋を描く物語。彼らは自分の名前も生活も捨て、好きなコの理想である「尾崎豊」「坂本龍馬」「ブラッド・ピット」になりきる。

 

「ヒロインが『ブラピって、なんか頑張ってる感があって好き』と言うせりふがあるんですけど、あれは松居(大悟)監督や主演の池松壮亮くんと話してるときに出てきた言葉なんです。彼女は尾崎の歌が好きで、龍馬の精神が好きで、ブラピの顔が好きなんですけど、ブラピってどの役を演じてても、“ブラピが頑張ってる”感じがするという話で盛り上がり、彼女も生きることを精いっぱい頑張ってるコなので、その気持ちにつながっていけるといいねと」

 

とはいえ、暴走気味の恋愛キャラを演じる苦労も多かったのでは。

 

「正直、イタいし、誰もそこまでするわけではない。でも、もっと根本的なところで、近くにいる人との関係性とか、恋をしたときにどうしていいかわからない気持ちとかを監督の脳みそが描き出すとこういう映像になるんです」

 

満島自身は、監督が描こうとするテーマに大いに共鳴したという。

 

「最初は“え、何この設定!?”と思われるかもしれないですけど、実は現代の人が抱えている“直接的じゃない行為”のメタファーだと思うんです。今は、当たり前のように匿名でSNSに発信する時代。僕はブラピと名乗って生きているけれど、それは仮の姿でしかない。本当に自分らしく生きている人が世界中にどれだけいるんですかね。この映画は、“自分らしさ”とはなんだろうという問いかけだと思うんです」

 

しかし、撮影中はそんなことを考える余裕すらなかったようだ。

 

「もうがむしゃらでしたよ。本当のアパートの2階でやってましたから、暑いし、狭いし、映画を撮るような場所じゃない(笑)。下では老夫婦が暮らしていたり、隣に住む酎ハイばっかり飲んでいるおじちゃんが撮影中に入ってきたり。セットとは違う、人間の匂いがムンムンの現場でした」