「30歳になる前に主演映画ができることがひとつの目標でした。夢がかなってうれしかったです」
そう語るのは、映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』(11月3日より全国公開)で主人公の飼育員・鯨井太一を演じた矢野聖人(26)。デビュー8年目でつかんだ映画初主演作は、和歌山県に実在する日本で唯一の「くじらの博物館」で働く若者たちを描いた青春物語だ。
「初めてクジラのショーを見たときは、『え? これを自分がやるの?』と思いましたが、クジラの調教は意外に苦労しなくて。サインを覚えたらとにかく自信を持ってやることを心がけました。海で行うクジラショーは、大きな水しぶきが立って迫力がありますよ」(矢野・以下同)
クジラを愛する太一は、日本一のトレーナーを夢見る飼育員の白石唯(武田梨奈)らとともに、悩んだりくじけたりしながらも、一歩一歩目標に向かっていく。
「唯とのラストシーンは、僕の考えを監督に提案させていただきました。太一を演じてきて、『こういう言い方のほうがしっくりくるんじゃないかな』と。セリフの部分はほぼ採用していただき、思い入れのあるシーンになりました」
ふだんから脚本を書いているという矢野。
「漠然とですが、監督をやりたいという夢があって。役者というものをちゃんとわかって、50歳くらいになったらやりたいなあと思っているんです」
演出家の蜷川幸雄に見いだされ、華々しいデビューを飾ったのが18歳。当時を振り返って……。
「蜷川さんのご指導がいまの自分の糧になっていることは間違いありません。ただ自分の考え方はすごく甘かったように思います。『身毒丸』が終わってからは苦労の連続でしたし、とにかく全力で向き合わなければいくらでも淘汰されていく。未だにすごく厳しい世界なんだなと思っています」
原因は自分にあったと振り返る。
「緊張に負けていたんです。オーディションでも、現場でも自分を全く出せていなかった。最近やっと物おじしなくなって、監督から『好きなようにやってみて』と任せていただくことも増えました」
公式ブログではお酒を飲みながらトークを展開する「今矢野乾杯LIVE」を配信。趣味の料理の腕を披露する「矢野飯」も好評だ。
「家族で見てくださる方もいて、『夫に好評です』とのコメントも」
以前の取材で「モテ男を演じてみたい」と抱負を語っていたが。
「今もキラキラ路線は狙ってます。女性ファン、ほしいですもん(笑)」