「僕は俳優の仕事が天職だと思っていて、こうして45年以上も続けていられるのは本当に幸せなことです」

 

こう語るのは、主演映画『体操しようよ』(11月9日公開)で、一人娘(木村文乃)を男手ひとつで育てた“定年お父さん”佐野道太郎を演じている草刈正雄(66)。映画では娘に結婚を考えている恋人がいると知った道太郎が『許さん!』と娘を一喝する場面も。

 

「実際もあの心境よ。父親なんてみんなそんなものでしょう(笑)」(草刈・以下同)

 

ラジオ体操を題材に、定年後の第二の人生の居場所探しが描かれる本作。妻、子ども、仕事……。草刈が考えるOVER60の生き方とは?

 

「とにかく、年のせいで早く起きちゃうんですよ。眠れなくなると聞くけど、本当にそのとおり(笑)。4時半とか5時ですからね。コーヒー飲みながら空が白んでくるのを見たりして。そういう時間を楽しんでます」

 

趣味のテニスで汗を流すのが日課。

 

「体を動かすことは大好きなんです。雨が降ればジムに行くし、自宅のそばの川沿いを散歩したり、ジョギングしたり。テニスはダブルスを楽しみます。ラリーが好きで、打つっていうよりもひっぱたくという感じが楽しい(笑)。思い切りたたくってふだんできないからストレス解消になるんですよ。健康と言えばそうかな」

 

『体操しようよ』では、娘に突然“親離れ”宣言をされる父親を演じている。草刈家では?

 

「うちの娘たちも言いたいことをバンバン私に言いますからね。僕はただ知らんぷりしているしかない(笑)。けれど、親離れはしているんじゃないかな。問題はむしろ僕のほうだと思います。とにかくかみさんへの依存がとっても強い。なんでもやってくれるんだよね。だから最近よく考えます。『妻が先に逝っちゃったら僕はどうなっちゃうんだろう?』と」

 

そんな弱気な発言もかわいらしく見えるダンディな66歳。ノリに乗ってる俳優業は生涯現役を目指す。

 

「僕らの仕事は定年がないとはいえ、ひとつ作品が終われば、いったんそこで終わりですから。だからこそ、この年齢で主演をやれるというのは非常にありがたいし、うれしいです」

 

そう考えるのはわけがある、とも。

 

「僕自身、晩年は厳しくなるとずっと思っていました。この容姿がコンプレックスでね。『体操しようよ』のような日本の家族の日常を淡々と描く作品では使ってもらえないと思っていました。道太郎みたいなちょっとかっこ悪い親父、好きだなあ。これからもどんどん挑戦したいですね」

 

映画の撮影を通して、ラジオ体操の魅力を再確認したという。

 

「3分間でなかなかいい運動になりますよ。終わった後の気分は爽快ですし、『1日が始まる!』というすがすがしさを味わえる。これをきっかけにやり続けようと思っているんですけど、すぐに怠けてしまって(笑)」

 

最後に理想の年の重ね方を聞くと。

 

「年を取れば取るほど、素直になったほうが楽しいし、幸せになれると思っています。年を取るほど頑固になるいっぽうですから、難しいことだと思います。でも、目指したいですね。そういう素敵なお年寄りを」