創刊60周年の節目の年を迎えた『女性自身』。60年にわたる歴史のなかで、華やかに誌面を飾ってくれたスターや、女性の新しい生き方を提示してくれた有名人を再訪。“『女性自身』と私”の思い出を語ってもらいました!

 

「『悪女聖書』は、原作者と息も合って、とても刺激的な作品でした。スタートに当たっては、2人の間で“決め事”もありました。当時、担当編集者から『夜の銀座のママたちの間で“次はどうなるの!”と話題になってますよ』と聞かされ、締切りに追われ眠る間もないほどでしたが、やりがいを感じたのを覚えています」

 

牧美也子さん(83)は、『女性自身』に連載していた『悪女聖書』の誕生秘話から語り始めた。情念渦巻くストーリー展開のなかでも、ヒロイン・業子の凛然とした生きざまは、多くの女性たちの共感を得たが、原作者の池田悦子さんとの決め事とは。

 

「“殺人事件が起きても業子自身には手を汚させない”“男に未練を残さない”“お金にはきれい”の3つ。あえて悪女のイメージの逆をやったんです。とはいえ、いつも業子が原因で誰かが死ぬわけですが(笑)」

 

こうして『悪女聖書』はレディースコミック全盛の中でも群を抜いて人気となり、連載は約3年に及び、コミックスは全27巻、連載終了後にはテレビドラマ化もされるなど、まさに一世を風靡した。

 

「私の実家は、兵庫の本の卸問屋でした。高校を出て、銀行員をしているときに、実家が忙しくなって手伝ったことが縁で、漫画家に転職したのです。そうそう、『女性自身』の創刊号が実家の問屋に届いたころのセンセーショナルな話題も覚えています。『えっ、表紙が外国人!?』とか『男性誌の編集者も女性自身を読んで勉強しろ』なんてことも出版業界ではいわれてましたね」

 

少女漫画から、レディコミ、そして『源氏物語』などの文芸作品へと、牧さんの歩みは、戦後の女性漫画史とも重なる。

 

「今はすべての連載も終え、寂しい思いもありますが、締切りに追われない日々は、気持ち的にはうんとラクですね(笑)。ここ数年は、夫の松本零士の食事の世話をしたり、自分自身の楽しみでハワイ旅行をしたり」

 

ペンや筆を持つ生活は、今も続けているという。

 

「好きな日本画を岩絵の具を使って描いたりしています。最近は、漫画も電子書籍になっていますね。私たちプロの漫画家は、読者がページをめくるときの期待感まで計算して構成を考えたものです。あの漫画の醍醐味はなくさないでほしいと思うんです」