三浦友和 介護、年金…妻・百恵さんとの「食卓での会話」明かす

「(次男・貴大さんの主演映画)『栞』は僕も、新宿の映画館で見ましたよ。初めてでしたね。初めて、自分の息子ということを忘れて見られたという体験をしました」

 

11月下旬の午後3時。インタビュー場所であるホテルの一室に、約束の時間より少し前に現れた三浦友和さん(66)は、ジャケットもパンツも、そして眼鏡も黒一色。唯一、純白のスニーカーが目にまぶしく映った。シンプルでスッキリした装いが、渋くキマる66歳は、ほかにいない。

 

「いままでは、どこかに『息子が演じている』と、気になる部分がありましたが、『栞』では、本当に映画の中の人間にしか見えなかった。まるでドキュメンタリーを見ているように感じて、ああ、こんな俳優になったのかという驚き、感動もありました。息子には、すぐにそうメールも送りましたけどね」

 

その日は、妻・百恵さん(59)も一緒だったという。

 

「僕は、息子の作品全部を見ているわけではないけれど、母親は全部です。100%見ています。今回は、いい映画だという話が伝わってきたので『だったら、2人で行こうか』と。ほかの俳優さんも皆さんよかった。妻も『いい映画だ』と感動していました」

 

意外なことに、夫婦で映画館に行くときは、『夫婦割』を利用する。

 

「最初は、抵抗もありましたね。映画に携わる者として、安く見るのは失礼かと思ったりして。でも、ここ数年はちゃんと夫婦割(笑)。安く見られるなら、行こうかなと思ってくれる人がいることは、いいことだと思うようになりました」

 

言うまでもないが、友和さんの妻・百恵さんは’70年代に絶大な人気を誇った歌手・山口百恵だ。人気絶頂の’80年10月、日本武道館のファイナルコンサートで、白いマイクをステージに置き、「幸せになります」と、芸能界を引退した。

 

それから38年。百恵さんは来年1月17日、60歳の還暦を迎える。長男・祐太朗さん(34)は歌手、次男の貴大さん(33)は俳優として、その活躍の場を広げている。

 

夫婦共通の趣味は、映画と旅行。息子たちが独立して家を出てからは、夫婦2人で旅行を楽しみ、映画を楽しむ生活だ。夫婦2人きりになっても、相変わらず夫婦げんかは一切しない。

 

「頭で、けんかはしないと決めていても、けんかする人はするんです。でも、僕らはしないですんでいる。我慢しているわけでもない。僕の場合は、仕事が空いたら何カ月も空きます。その期間はずっと家にいるわけで、お互い、一緒にいることに慣れている。ずっと一緒にいても、もめ事もなく、疲れもしない。それはもう、相性としか言いようがないんですよね。サラリーマンの夫婦が、夫の定年後にギクシャクするというのはわかりますよ。うちの親がそうでした。父の当時は、定年が56歳。父は無趣味ですから、いきなりずっと家にいるわけで、母はうっとうしかったことでしょう(笑)」

 

友和さんの両親は、同じ敷地内の別棟に住んでいる。父親は91歳、母親は92歳と高齢だ。

 

「2人とも認知症ではないし、トイレも自分でいけますが、要介護1ですから、妻が食事の世話をしています。ただ、塩分制限などもあるので、週3回くらいは、夕食だけ宅食を頼んだりしています。姉夫婦もちょくちょく顔を見せては世話をしてくれています。それでも妻は大変ですよ。病院は、妻が車で連れていっています。介護で自分の時間が削られるだけでもストレスになっているはずですから、ここは相性ですませず『ありがたく思っている』と、言葉に出して伝えています。なるべく妻が楽に介護できるようにしたい。それが夫の務めです。下の世話が始まったら、施設に入れることも今から考えています」

 

1日の終わりに夫婦で晩酌しながら、年金についてなど、老後の現実を直視する会話が増えてきた。

 

「仕事の話は家ではしませんが、妻が僕の映画の感想を言ってくれるときはあります。僕は『見ないでほしい』というタイプなんで、全部ではないはずですが、こっそり映画館で見ているようです。ドラマは全部、見てくれています。とにかく妻は、筋金入りのドラマファンですから」

 

百恵さんは、ドラマの新シリーズが始まると、すべてのドラマの第1話を必ずチェックして、「これは面白い。こっちはいまひとつね」と、報告してくれる。最新シリーズの評価はこうだ。

 

「今回は何もないわ。『コールドケース2』(WOWOW)だけね」

 

『コールドケース2』には、友和さんが未解決事件捜査班のボス役でレギュラー出演中なのだ。

 

「妻のドラマを見る目は厳しいですよ、真剣に見てますから。ただし、感想を言うときは、いいことしか言いません。妻は何に関しても、マイナスの発言がないんです。すごくいいです。助かります」

 

「ここはよかった」「このシーンが面白かった」と、具体的に感想を言ってくれる百恵さん。たまに、「このシーンはどうだった?」と、聞くと、とっさに、「うーん……」と、口ごもるときもある。

 

「それで、ああ、つまらなかったんだなってすぐにわかる(笑)。妻はいま、ドラマと映画とキルトで生きていますよ。もう、一般人の感覚です。音楽番組も1ファンとして見ていますから」

 

今年の『NHK紅白歌合戦』の出場者が発表されたとき、夫婦でこんな会話があった。

 

「世の中にさほど知られていなくても、紅白に出ちゃうんだね」

 

「いまの芸能界は、その知られていない人が武道館を満杯にできたりするんだよ」

 

「やっぱり私たちのときとは、時代が違うんだな~」

 

そうつぶやく百恵さんは、しみじみとした口調だったという。

 

「ですから、もう妻からアドバイスできることなど何もないんです。息子たちの映画を見たり、CDを聴いて『よかったよ』と、言うだけです。うちはずっと、そんな親子でやってきました」

 

年明けの1月、友和さんは67歳、百恵さんは還暦を迎える。

 

「60歳は、妻にとっては母親が亡くなった年齢でもあります。それだけに60歳への思いが強いのか、すごく重く捉えているようです。誕生日には何かしてあげようと思っています。息子たちもそのつもりでいるようです」

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