赤木春恵さんとの思い出「叱られたことは一度もない」

今年も多くの偉大なスターが、たくさんの思い出をわれわれに残してこの世を去った。そんな故人と親交が深かった方々から届いた、愛あふれるラストメッセージを紹介。題して、「大好きなあなたへ 最後のラブレター」――在りし日の姿に、心からの哀悼の意を表して。

 

■赤木春恵さん(享年94・女優・11月29日没)へ。藤田朋子(53・女優)

 

ある舞台でご一緒したときのことです。私は赤木さんを驚かせようと、赤木さんの楽屋に潜んだことがありました。

 

鏡台の下に隠れて待っていた私は、赤木さんがお部屋に入ってきた瞬間、「わ!」と飛び出したのですが、にこにこしながら「まあ、いいのよ」とたおやかなお声。私が拍子を抜かして、「赤木さん、おはようございます」と挨拶すると、「何してるのぉ? おなかすいてなあ~い」と返され、私は返事に困ってしまいました。

 

叱られたり、にらまれたり、ましてや怒鳴られたことなど一度もありませんでした。『渡る世間は鬼ばかり』では、目尻を釣り上げ、言いたい放題のキミさんを全力で演じていらした赤木さん。

 

私の演じる長子も、わがまま放題な役柄でした。ドラマを見た人たちに、赤木さんが「意地悪な姑」と信じられていたのと同様、私のことを「わがままな嫁」と思ってくださる方がいることを誇りにし、長子を演じていこうと思っています。

 

ご葬儀の出棺のとき、赤木のママの棺が表に出た瞬間、ふわぁーっと風が通りました。師走の風とは思えない、ママのように温かな優しい風でした。そう、赤木のママは、いつもそうやってみんなを優しく見守ってくれてた……。

 

これからも、赤木のママが「いいわよ、朋子ちゃん」と笑ってくださるように、いただいた一つ一つの役に命を込めて演じ続けられるよう、想いを刻みます。ありがとうございました。

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