「私はデビューしたのが早かったので、その分早く60歳になりたいと思ってました。仕事と学校があって、結婚してから20年間は休んで子育てがあって。一通り全部終わって人生の肩の荷が降りるのが60歳かなと、40歳のころに思っていたんです。でも、いざなってみたら全然変わってなくて……。逆に忙しくなるハメになっちゃいました」
本誌にこう語るのは、昨年10月に還暦を迎えた森昌子(60)だ。3月上旬、昌子は昨年からスタートしたコンサートツアーの東京公演に出演。歌からコントまで2時間ノンストップで、往年のファンを魅了していた。コンサートで大きな盛り上がりを見せたのが、デビュー当時さながらのセーラー服を着て披露した代表曲『せんせい』。そこには、ファンへの“熱い思い”があった。
「やっぱり『森昌子=せんせい=セーラー服』というイメージがあるので、衣装を見た同年代の方々に『私もあんな青春あったなあ』とちょっとでも昭和の思い出を振り返って懐かしんでもらえたらなと。『森昌子と同じ時代を生きてきたんだ、同じ青春を歩んできたんだ』という当時の気持ちを思い出してもらえればと思って、今も挑戦していますね。自分も楽しみながらこのコンサートを1年間やり遂げたいなというのがいまの目標です」
還暦を超えても100本ものツアーを精力的にこなしている昌子。そんな彼女の心の支えとなっているのが、“花の中三トリオ”としてともに活躍した山口百恵さん(60)、桜田淳子さん(60)の存在。その絆は不滅だった。
「今でも関係は続いていますよ。私が何年か前に病気したときには、百恵ちゃんからはメールで『大丈夫?』といただいたんです。淳子ちゃんからもお手紙をもらいました。頻繁ではないですが、今でも連絡は取り合っています。互いに体を気遣い合ったり、みんなそういう年齢になったんですね。まさに“花の還暦トリオ”です(笑)百恵ちゃんにもし会えたら、『還暦になっちゃったねえ』とか『区切りのいい歳だねえ』なんて話をしたいですね」
還暦という区切りを迎えた今、これからの活動も気になるところ。2年前の本誌のインタビューでは「これからは自分の好きなように青春を謳歌したいし、ときめきを感じるような男性との出会いもあったらいいな」と語っていた。果たしてその結果は……。
「(即答で)何にもないの! だってこれだけ忙しいのよ。自分の健康管理は自己責任だし、時間に余裕がないもの。いっしょにお茶を飲んでくれる異性の友達ぐらいは将来できたらいいなとは思っていますけど。でもいまは全国を巡っていても、観光する暇もないくらい忙しくて……。だから夜の食事がコンビニでなんてことも多々ありますよ。コンビニで買ってきてもらってホテルの部屋で1人で食べたりとか……。悲しいでしょ!? でも私は食事に関しては欲がないので、麺類さえ用意しててくれれば文句は言いません。スタッフも楽だと思います(笑)」
今もなお第一線で奮起し続ける昌子。3人の息子たちはすでに親元を離れたが、母の活動を応援してくれている。
「いまはみんな成人して独立していますから、タイミングよく会う時間も少なくなりました。ただ、メールとかでは『母さんおめでとう』とか『60だねシェー!』とか、そんなメッセージを送ってくれるんです」
昭和から平成を駆け抜けた昌子。次の元号への意気込みを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「昭和は『娘』、平成は『母親』、次の元号は『おばあちゃん』かな(笑)。必然的にそうなると思いますよ」
今もなお輝きをますその姿は、これからも変わらず人々を魅了し続けるだろう――。