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「実は、10年前から原作のマンガを知っていて、いつかやりたいと思っていた作品でした。だから、このお話をいただいたときは、“こんな奇跡があるのか!”と感動して……」

 

そう語るのは、放送中のドラマ『ベビーシッター・ギン!』(NHK-BSプレミアム・日曜22時~)で主演を務める大野拓朗(30)。『はいからさんが通る』『あさきゆめみし』などで知られる人気漫画家・大和和紀の同名マンガのTVドラマ化。「この作品と不思議な巡り合わせを感じる」と話す大野は、あふれる母性愛で、さまざまな家庭の子育ての問題を解決していく、最強のベビーシッター・ギンを演じている。

 

「もともとは僕を芸能界に導いてくれたマネジャーが、“いつか拓朗でこの作品をやる”って言っていたんです。理由はわかりません。ただ、マンガを読んだら、クスッと笑えるところがありつつ、感動もあって、すごくおもしろい作品だと思ったことを覚えています。今回、初めてギンさんと向き合って、ただ単にスーパーマンのような側面があるだけでなはなく、人間味にあふれたところが魅力的だなあと思いました。ギンさんの喜怒哀楽をより魅力的に、よりおもしろく見えるようなものにしたいと思いながら演じています」

 

ギンは元財閥の下落合家の長男ながら、英国淑女のようなファッションに身を包む、一風変わった男性。ギンと出会う人々がみな、彼を女性と信じて疑わない美貌の持ち主だというのも特徴だ。演じる大野も並々ならぬ意気込みで役づくりに臨んでいる。

 

「まずいちばん気を遣っていることは“美”です。英国淑女として、いつなんどきも姿勢よく、立ち居振る舞いや口調は優雅に。内面的には、溢れる母性や海のような優しさを持ち合わせることを心がけています。そして、家族がどんな問題を抱えているのか、観察しているときのギンさんの目の動きを工夫しています。家でも、爪のケアをしたり、ムダ毛処理をしたり、やらなきゃいけないことは山ほど(笑)」

 

近年は、連続テレビ小説『わろてんか』、大河ドラマ『西郷どん』などに出演。活躍目覚ましい大野も主演のプレッシャーを感じることはあるのだろうか。

 

「最近は“主演だからこうしなくちゃ”とかを考えなくなりました。自分はただ一生懸命、役に向き合うことだけを考えて、皆さんの支えに対する感謝の気持ちは芝居にぶつけよう、と。昔は、スタッフのケアとかいろいろ考えましたけどね。やっぱり、演者が楽しそうにイキイキ演じていることが、スタッフの皆さんにとってのやりがいにも繋がると思っています」

 

全10回で描かれる本作には多くの子供たちが登場。大野自身はどんな子供だったのかと訊くと、「めちゃめちゃ可愛かったです!!(笑)」と本人。

 

「昔から女の子にモテ続けてきました。ずっとモテてるから、とくにモテ期というのもなくて、実際、モテ期がきたらどうなるんだろう?ってワクワクします」

 

小学生時代のバレンタインデーには、学年の半分以上の女子からチョコをもらっていたとも。

 

「学年2クラスしかなくて、女子は30人くらいだったので15個くらい。ほとんど本命だったと思います。下駄箱に『放課後うちに来て』って手紙が入っていたり、直接そう言われたりするので、当日は15軒くらいの女子の家を回るんです。『本命だから、チョコを渡したことを誰にも言わないでね』って告白みたいなことをされたり……。高校の頃なんか、教室に僕を見るための女子で人だかりができていることもしょっちゅうでしたね(笑)」

 

両親からいっぱいの愛情を受けて育ったという大野は、親の子供の虐待などの悲しい事件が後を絶たない現代だからこそ、本作を見る人の心の癒やしにつながってほしいと願う。

 

「原作の大和さんがおっしゃっていたんです。連載当時、“この作品を読むと、我が子を抱きしめたくなる”“子供が愛おしく思える”というファンレターをもらった、と。ドラマで『ベビーシッター・ギン!』を知ったという方にも、そんなふうに子供を愛する時間が少しでも増えたらいいなあと思います」

 

悩める親たちを叱咤激励し、涙する子供たちに愛を届けるギン。彼の言動が人々になにかを気づかせるが、大野自身、人生の苦難のときに誰かの言葉に救われた経験は?

 

「僕、精神的にとっても強くなったんです。強くなったきっかけというか、大きな転機は、大学受験で浪人を経験したときだと思います。2~3ヶ月、部屋にこもって勉強だけして、誰とも口をきかない生活を続けていたんですが、たまたま中学の同窓会があった。ひさしぶりに会った親友たちと数ヶ月ぶりにしゃべって、笑っていたら、顔がめちゃくちゃ痛くなったんですよ。“ほっぺたって、筋肉痛になるんだ!”ってハッとして、このまま引きこもっていちゃダメだ!と(笑)」

 

その経験があって、一気にポジティブになったという。

 

「親や友人など、自分を支えてくれる人はこうして身近にいるし、その人達の存在は大切だと痛感しました。一時期は、自分はどうして生きているのだろう、何のために存在しているのだろうと、精神的にガタがきていたのでなおさら。あと、思ったんですよね、やっぱり笑うっていいなあって。だから、僕を強くしたのは、笑顔かな。芸能の仕事をやりたいと思ったのも、僕を見てくださる皆さんに笑顔を届けられる仕事だと思ったからなんですよね」

 

今夏、ギンとして多くの人々に笑顔を届ける。暑い夏を乗り切る元気の源は?

 

「それはもう、赤ちゃんです。赤ちゃんと接していると自然に笑顔になるし、元気になる。普段は動物が好きで、常日頃、ネットサーフィンをして可愛い動物の写真や動画を見つけることが、僕の癒やしの時間でしたが、この夏は、赤ちゃんが僕の心の安らぎとなり、幸せのもとになってくれると思います」

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