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2018年7月に事実婚を発表し、2019年9月に長男が誕生した、はあちゅうとしみけん。活躍する業界もファン層も違う異色夫婦が、「これ、どうする?」「あれ、どう思ってる?」と赤裸々に語り合う本誌連載「家族会議 議事録」の第17回。共働きの夫妻は、「産後クライシス」をどう乗り越えるのかーー。

 

 

はあちゅう「ネットをはじめとして、『産後クライシス』がホットな話題だね」

 

しみけん「妻の出産後、夫婦仲が急激に悪くなるやつか」

 

はあちゅう「共働き夫婦の場合、女性が『子育てを自分だけに押しつけられて苦しい』って構図が原因のひとつ。もちろん専業主婦だって、つらいことはあると思うんだけど、仕事のことはいったん考えずに、育児に専念できるじゃない。だけど共働き夫婦の妻は、『稼がなきゃ』とか『仕事復帰したい』という焦りが溜まってしまう。なのに基本的には、子供と家にいなきゃいけない。脳の歯車がうまく嚙み合わなくて、分裂しそうになるんだよ」

 

しみけん「その分裂を止めるには?」

 

はあちゅう「とりあえず、夜に夫が家にいてくれるのはすごく大事。昼間はまだ誰かの助けが借りられる状況を作れるけど、夜は誰の手も借りられない。ベビーシッターさんに頼む方法もあるけど、深夜0時に呼ぶっていうのもねえ……。なにより、夜に旦那が家にいてくれることが、妻にとってはいちばん安心なの」

 

しみけん「深夜のベビーシッターってあるのかな?」

 

はあちゅう「そりゃあお金を出したらなんでもあるんだろうけど、自分たちが寝てる間、息子もそんなに起きないのに、そのぶんの時給が発生してるってもったいなくない?」

 

しみけん「セコ!(笑) 僕、後輩に車の見張り番をお願いするとき、普通に1万、2万渡すよ。時給換算じゃなくて、やってくれたことに対する気持ちの問題だからね。シッターとして、仕事にあぶれてる若手のAV男優を呼ぼうか?(笑)」

 

はあちゅう「いやだ……。だいたい、夜中にすっぴん・パジャマでトイレに行く姿とか、よく知らない男の人に見られたくないよ!」

 

しみけん「いまスマホで深夜のベビーシッターを調べたら、22時から朝9時まで、時給4,200円だって。8時間頼んだら3万3,600円か」

 

はあちゅう「それを出すくらいなら、『どんなに子供が泣いても、自分で面倒みる』って思っちゃう」

 

しみけん「でも睡眠は取れるよ」

 

はあちゅう「私の一晩の睡眠に、3万円も価値があるのか考えたら、ひるむわ」

 

しみけん「一晩だけじゃなくて、翌日以降の心身の健康のためでもあるからね」

 

はあちゅう「私、家事代行を頼むことをブログとかで公言しているわりには、どこか『自分でやらなきゃ』って思ってるふしがあるのよ。専業主婦の母を見てきたから……。家事や育児を、お金を払って他人にまかせることは、まだ自分の中では『普通』ではなく、『贅沢』って感覚なんだよね」

 

しみけん「いいんじゃない? 時間を買ってるんだから」

 

はあちゅう「小さいころに、親の仕事の関係で香港やシンガポールに住んでたけど、日本人駐在員の家では、フィリピン人のメイドさんを雇うのは当たり前だったのね。だから、家事を誰かに預けることは、ほかの日本人と比べても比較的慣れてるはず。……それでも罪悪感があるんだよ」

 

しみけん「何に対する罪悪感?」

 

はあちゅう「『女の仕事を、自分は完璧にやれてない』っていう罪悪感」

 

しみけん「『夫婦は家事の役割分担が大事』と、いつも言っているわりには、けっこう保守的なんだ。そもそも、はあちゅうは、お母さんみたいな専業主婦じゃないし」

 

はあちゅう「私の世間的なイメージは、たぶんもっと合理主義というか、『シッターに預けて当然』みたいな人なんだろうけど」

 

しみけん「それもまた、人間臭くていいじゃない」

 

はあちゅう「欲張りなのかなぁ……。やっぱり『全部できる自分でいたい』ってどこかで考えちゃうんだよね。『家のことはできて当然』みたいな、母親が体現してきた昭和の価値観が、私の中に染みついてるんだと思う。うまくできないと『ああ、私こんなこともできないんだ……』と落ち込むしね」

 

しみけん「理想と現実との間で苦しんでるわけか」

 

はあちゅう「かといって、『私が働いて、けんちゃんが主夫になるのは申し訳ない』と思っちゃう。そこも、へんに昭和的なのかもしれない。『夫を外に出してあげられない自分』は、能力不足って感じちゃう」

 

しみけん「現実的に、僕は主夫になれないけど、『はあちゅうというキャラのブランディングのために、あえて主夫になる』だったら、どうなんだろうな。……イヤ、できないな」

 

はあちゅう「家事と仕事、両方やろうとするからつらくなるんだと思う。このあいだ、けんちゃんが韓国出張に行ったとき、『今日は一切仕事をしないで、息子の世話だけしよう』と決めたら、むちゃくちゃ気持ちがラクだった。いつもは『家事も仕事も両方やんないと!』って思ってるから、『この子が泣いてる間は仕事ができない……』となってストレスが溜まるけど、『家事だけでいい』って思った瞬間、ラクになった」

 

しみけん「なるほど。つまり、仕事と家事の分量を50%ずつでやるよりは……」

 

はあちゅう「家事・育児100%か、仕事100%のほうがずっとラク。育児と仕事をいったりきたりして、どっちかに対して『完璧にできない……』って状態が、私にとってはつらいからね」

 

【はあちゅう】
1986年、神奈川県生まれ 慶應大学在学中より、ブロガー活動を開始。会社員経験を経て、2014年、フリーに。ブログ「旦那観察日記」で、夫婦生活を鋭意発信中

 

【しみけん】
1979年、千葉県生まれ 1998年にAVデビューし、出演本数は約1万本の現役AV男優。最新刊『しみけん式「超」SEXメソッド』(笠倉出版社)が発売中

 

取材&構成・稲田豊史
(週刊FLASH 2019年12月24日号)

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