■「希望に応えられない」そう思うまで続けたい
結婚せずに生きていくつもりになったという阿川さん。しかし’17年、63歳のときに、5歳上の男性と結婚。
自粛生活で、顔を合わせる頻度が増えた結果、仲が悪くなってしまった夫婦も多いと聞く。阿川さんの夫婦円満の秘訣はというと。
「私が仕事に追われて機嫌が悪そうだと、夫はスーッといなくなります。私が寝室に移動すると夫はスーッとリビングに、磁石の同じ極同士みたいな感じ(笑)。それで、ご飯のときだけ一緒になるんです。若い夫婦じゃないので、お互いに心地よい時間や生活のリズムができちゃってるでしょ。干渉し合わないことが秘訣ですかね」
今月7日、こんな阿川さん流の人生の秘訣が詰まった『アガワ流生きるピント』(文藝春秋)を出版した。「仕事」や「恋愛」、そして「認知症」から「セックスレス」まで、さまざまな人の悩みにQ&A形式で答える本だ。
40年走り続けた今、「老い」や「終活」について考えることも増えた。
「夫は5歳上ですから、どちらかが認知症や病気になることも考えます。でも、いざとなったときのことについては、『地震がおきたら、あの公園ね』ということくらいしか、まだ決めていません。もし、夫と同時に死ぬことができたら、いちばんいいですよね。でも、それは難しいから、いずれ考えないといけません」
仕事の引退を考えることはないのだろうか。
「夫には『見るに耐えないと思ったら、“テレビの仕事をやめなさい”とはっきり言う』って宣告されています。でも原稿の仕事はオファーがあれば『もうご希望に応えられません』という段階になるまでは続けたい。だから、早期引退ということは考えていません、って、すでに『早期』じゃないけどね(笑)」
人生経験を重ね、ますます魅力的になっていく阿川さん。まだまだサワコの活躍は続く。
(取材・文:インタビューマン山下)