テレビで歌う姿を見て恋に落ちた当時は小学生(撮影:松蔭浩之) 画像を見る

住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代を捧げるほどハマった歌手の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。

 

「徳永英明はフジカラーのCMで『輝きながら…』(’87年)が流れていて、いい曲だなって思っていたところ、歌番組でその姿を見て、イナズマに打たれたような感覚に。人生初の恋に落ちました。クラスにはアイドルのファンが多かったけど、私は“この人を、一生かけて追いかけよう”と。すっかりドハマリして、それから長い長いファン生活を送ることになったんです」

 

そう話すのは、『東京タラレバ娘』や『海月姫』(ともに講談社)などのヒット作がある、漫画家の東村アキコさん(45)。

 

それほど徳永英明にハマったのは“いとこのお兄ちゃん”の影響を受けていたからだという。

 

「サーカスとかオフコースのカセットをくれるような人で、音楽に切なさを求めていたんだと思います。徳永英明のように、“別れたけど後悔している”というような、男女の機微を歌う曲が、私も好きになっていました」

 

10代の初めに、大人の恋愛感情が理解できるようになっていたという東村さん。じつは小2のとき、すでに恋愛マンガを描き始めていたとも。

 

「ノートにコマ割りして描いた漫画で、1コマ目は男のコが『別れよう』というシーン。続いて女のコが『え!?』って驚くーー。人に見られると恥ずかしいって気持ちはあって、隠していたんです。でも……」

 

ある日、学校から帰ると、父親がそのノートを手にしていた。

 

「“見られた”って思った瞬間、父が『アキコーっ! おまえ別れるって意味、わかって描いているのか。お母さ〜ん、アキコがマセた漫画、描いとりますわ』って大笑い。しまいには『♪わっかれよう、ヘイヘイ』って、指をパチンパチン鳴らしながら、歌にまでしてからかって! あの屈辱は忘れられません」

 

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