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「中学時代は、思春期ならではの気恥ずかしさから、クラスの誰よりも“慎ましい”タイプだったんです。でも本当は、人前で歌うことも踊ることも大好きで。だからこそ当時は週末に通っていたミュージカルの教室が、そのもどかしさを一気に解消できる場所でしたね。この表現欲と才能はまた別なのだと、のちに思わされもしましたが(笑)」

 

こう話すのは、上白石萌音(23)。女優・歌手として多岐にわたり活動する上白石だが、その素顔は“読書好き”なごく普通の23歳。そんな彼女の日常が綴られたエッセイ『いろいろ』(NHK出版)の発売を機に、“いろいろ”な本音を聞いた。 本好きが高じて、装丁にまで自らのこだわりが詰まっているというが、本を好きになったきっかけは?

 

「小学校の司書の先生がとても素敵な方で、本の楽しさを教えてもらえたんです。小学2年生のころには、親戚からもらった『ナルニア国物語』シリーズを読破して、本の世界から想像を広げる喜びを知りましたね。今や家の本棚はすっかりパンパンで、隙間に無理やり積み重ねている状態(笑)。最近読んだのはサガンの『悲しみよ こんにちは』ですが、訳者の河野万里子さんは『ラジオ英会話』の翻訳連載でお世話になっている先生で。そうした縁もうれしくなる瞬間ですね」

 

読書とともに文章を書くことも昔から好きだというが、一冊書き上げた感想は?

 

「言葉って無限にあるので、その膨大な選択肢から一つずつ選んでいくのが予想以上に大変でしたが、充実した時間でもありました。それに家族がすごく楽しんで読んでくれたんですよね。父は生まれて初めて一気読みをしたと言ってくれましたし、妹(上白石萌歌)なんて、『お姉ちゃんの作品の中でいちばん好き』って……、まさに“いろいろ”な気持ちになりました(笑)。苦しかった気持ちなどもありのままに書いたので、同じような思いを抱えている方が『一人じゃない』と思ってくださればなと」

 

11月1日放送開始のNHK朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で、ヒロインを演じる上白石。

 

「今回出演する朝ドラも『生きなきゃな』という気持ちになれるドラマだと思っているので、コロナ禍で我慢の日々が続きますが、あわせて楽しんでもらえたらうれしいです」

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