■撮影は“生の歌”にこだわった
音楽といえば、定一が進駐軍のパーティのステージで、ジャズの名曲『オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート』を熱唱したシーンが話題となった。
「定一役をお受けするときから、歌唱シーンがあることは決まっていました。ボクが歌えば『世良公則』をイメージされるので、これまでドラマで歌うシーンはお断りすることが多かったんですが、今回は真正面から受け止めました」
ドラマの撮影の場合、当て振り(録音した音楽に合わせて演じる)をすることも珍しくないが、生で歌い上げることにこだわった。
「やはり、象徴的なシーンにしたかったので、本番前のテストから、生歌です。半日くらいテンションを保つのは大変でしたが、バンドメンバーの演技のノリがよくなってくるし、アメリカ兵役のエキストラの人たちも盛り上がる。ドラマで使用されたルイ・アームストロングのバージョン以外にも、フランク・シナトラなど、別のシンガーのテイクも聴き、自分なりに曲を把握しました。酔っ払いながら、感情のままに歌い上げる“定一のサニー・サイド”に仕上げることができたと思います」
撮影現場の空気を変えるほどの圧巻の歌唱は、感動を呼んだ。
「朝ドラ(『おちょやん』)出演経験もあるトータス松本さんは『俺も(ドラマで)歌いたかった』と話していたし、渡辺美里さんはご自身のFMラジオ番組で取り上げてくださったんですね。何よりうれしいのは、視聴者の方の『感動した』という言葉です」