■娘のアイデアを採用した作品も。「私は私、作品は作品。感想は見た人の自由です」
「作品を見てくれて『元気をもらった』とか、ときには『自分をさらけ出して、すごい』とか、いろんな感想を持つ人がいて。ありがたいんですけど、自分では『私は私、作品は作品』と距離を置いて考えていて。どんな感想を抱こうが、それは見た人の自由だし、どう思われたいというのもないんです。最近は海外での展覧会も増えて『すごいね』って言われることもあるけど。でも私が暮らしてるのは、牛だらけの田舎ってことに変わりはないしな、って」
冷静に語る片山さんだが、銀座のギャラリーでは、思わず相好を崩す場面も。
「この作品、じつは娘のアイデアを採用したものなんです」
それは、貝殻の装飾が施された絵画だった。
「昨年、パリでの個展を終え帰国して。コロナ対策の隔離後に描いた作品なんですけど。いつも、完成した作品を陽毬に見せて『どう?』って聞くと『うん、いい!』って言ってくれるのに。そのときは言ってくれなくて。しばらく考えてた彼女が急に『貝殻つければ』って。それで、試してみたら、思いのほか、出来栄えがよくなって。だから、最近は彼女のOKがもらえたら作品完成って、そんな感じになってきてますね」
嬉しそうにほほ笑む片山さん。夫と娘、最愛の家族に支えらながら、彼女は堂々と、義足とともに歩み続けていくーー。