「主人公のうららの姿を通して、自分が好きなものはもっと自信を持って好きと言っていいし、自分のことをもっと認めてあげてもいいのかもしれないと励まされました。私自身も、自分の発言が人に誤解されていないかと気にしてしまって、家に帰って一人反省会をすることもあるので(笑)」
そう話すのは、6月17日公開の映画『メタモルフォーゼの縁側』で、引っ込み思案で周囲になじめない高校生・佐山うららを演じた芦田愛菜(17)。
大好きなBL(ボーイズラブ)漫画を通じて75歳の老婦人・市野井雪(宮本信子)と友情を育むうららに自身を重ね、「自分もこの作品に温かく包み込まれているような気がした」と語る。
「宮本さんとの共演は10年ぶり。最初は緊張もありましたが、撮影初日に、宮本さんから『頼んだわよ』と声をかけてくださって、その言葉がすごくうれしかったです。私の勝手な解釈ですけど、うららが雪さんに認めてもらえたのと同じような気持ちにしてくださったのかなあって思います」(芦田・以下同)
雪の家の縁側で漫画愛を語り合う日々のなか、自分で漫画を描くという夢を抱き、ある挑戦を決意するうらら。芦田自身、何かに挑戦するときは慎重なタイプだという。
「パッと飛び込んでいけなくて、すごく考えるし、悩みます。ただ、考え抜くことは大事だと思っていて。挑戦した後に後悔することが出てくるかもしれないけれど、あれだけ悩んだうえで選んだことだからって思えるようになれたらいいなあと思います」
実生活でも高校3年生。文化祭などの行事も「楽しまなきゃ損!」と全力で取り組んでいるという。
「ベニヤ板にペンキを塗っているときとか、『私、青春してるな!』って思います(笑)。放課後、友達と『疲れたね』とか言いながら夕日のなかを帰宅する。そういう日常の何げない一コマに憧れます」
女優として、今、お芝居の楽しさや表現する喜びを感じるときは?
「お芝居をしていて、相手の役者さんと息が合ったなって思ったときがいちばん楽しいです。私がいつも心がけているのは、芦田愛菜が役に出てしまわないようなお芝居をすること。見ている方の意識が演じる役のほうに向くような演技がしたいと思っています」