「沖縄県民が大騒ぎして喜んでくれて、沢山のお祝いの言葉を頂きました」
満面の笑みでそう語るのは、沖縄芝居役者の仲田幸子さん(89)。沖縄芝居を代表する喜劇の女王であり、沖縄では老人から子供まで知らない人のいないほどの人気を誇る沖縄のスーパースターだ。
そんな芸歴73年の仲田幸子さんが孫のまさえさんとのダブルで初主演した映画『なんくるないさぁ 劇場版~生きてるかぎり死なないさぁ』が、昨年米ロサンゼルスで開かれた『ロサンゼルス日本映画祭2021』で最優秀主演女優賞を受賞した。
映画は幸子さんの死から始まるコメディー。具志堅用高(67)やガレッジセールのゴリ(50)など沖縄出身の有名人たちも出演。告別式を前に遺体が持ち去られ、慌てる「劇団でいご座」のドタバタが描かれている。
授賞式に出席したまさえさんから「主演女優賞におばあちゃんが選ばれた!」と生電話で報告を受けると、幸子さんは軽い調子で「あ、そう」。米国でも会場を笑いの渦に巻き込んだ。
そんな幸子さんに長寿の秘訣を聞くと、
「好きな物を食べ、沢山の人と会話することです」
とニッコリ。幸子さんは地元沖縄県那覇市内で『仲田幸子の店』を営んでおり、
「毎日のように、常連さんとカラオケを歌い、会話を楽しんでいます」
人との触れ合いが生きる源になっているとキッパリ。
「舞台に立ち、お客様の笑い声のパワーをいただくたびに、喜劇をやっていて良かったと思います」
改めて感謝の言葉を口にした。そんな幸子さんの夢は、坂上忍と舞台で共演すること。
「坂上忍さんが好きです。動物を可愛がってる番組が好きです。またでいご座のみんなと一緒にお笑い劇をしたいです」
そんな幸子さんが主演する『なんくるないさぁ』が、沖縄の本土復帰50年を記念し、沖縄を飛び出し、本土初上陸。9月9日から22日まで東京・UPLINK吉祥寺での上映が決定した。幸子さんの笑顔が、皆を元気にしてくれそうだ。