「野球や自転車、キン消し集めに夢中になる普通の少年だったと思います。僕が育った埼玉の春日部も、海や大きな山はないけれど、田んぼと畑が続く田舎町。映画の主人公たちのように冒険に出かけると、カエルとかカマキリとかヘビがいてちょっとスリリングな感じだったし、ハマると体半分浸かっちゃう地獄沼があったり……。いつも泥だらけで傷だらけ、入ってはいけない場所に入ったりしていました」
日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた『ミッドナイトスワン』から2年、草彅剛(48)が出演するのは、子どもが主役の青春映画『サバカン SABAKAN』(8月19日・全国ロードショー)。舞台は’80年代、2人の少年のひと夏の冒険を描いた物語で、草彅は少年の1人・久田孝明の現在を演じる。
孝明の家は愛情深い両親と無邪気な弟の4人家族。いつもにぎやかな会話が繰り広げられているが、草彅家は?
「うちの家族もにぎやかでした。食べることがすごく好きな食いしん坊一家。お好み焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、と謎に粉ものが得意な母親で、今でこそ、タコパとかはやってるけど、うちは当時からたこ焼き器があってみんなで食べていたんですよ。でも、母親の作ったたこ焼きを食べるとなぜかいつもお腹が痛くなっちゃって。いまだにどうして調子が悪くなるのかわからない。母の謎のレシピのせいかな」
家族との思い出もジョークまじりに楽しく話す。
「今はおいっ子たちがすごくかわいい。僕はおいっ子たちに人気者だったりするんですよ。一緒にマリオカートをしていても、僕はマジになってしまって、負けると興奮したりして同じ目線で遊べて楽しいのかもしれません。僕自身も精神年齢が低いから、いつの間にか僕がいちばん子どもになっちゃう。今回の映画でも子どもたちを見て、改めて爽やかな気持ちを取り戻してます」
うれしそうにおいっ子たちの話をする草彅。映画も小学生の男の子たちが思いっきり遊んで生きていく姿に心が動かされる。
「小さい子が見ても面白い作品になっていますが、僕らの世代や先輩方が見ると『また毎日美しく生きていける』、そんなパワーをもらえる映画だと思います。今はコロナなどで大変な時期ですが、ちょっとでもリフレッシュしてもらえたらうれしいですね」