シンガー藤井風のデビュー前秘話 町のコンサートでおばあちゃんたちを熱狂させて
画像を見る 「風くんの歌が心の支えです」マカレの入口ではリボンに記されたファンの応援メッセージが風になびく(写真:田山達之)

 

■聖地をたどって訪れたのは「つばきの丘運動公園」。風のような歌声がゆったりと流れて

 

町役場、マカレ、ミッチャム、近所の商店など、ファンと同じように里庄町での藤井風ゆかりの聖地をたどって、最後に訪れたのが「つばきの丘運動公園」だった。

 

町を見下ろす高台にあり、ここの管理棟の一角にも、藤井風コーナーができている。ちなみに、藤井自身も、この公園を訪れたときの動画をアップしており、ファンにはおなじみの場所。

 

ここで、毎日数回、定時になると、藤井風や前出の千里さんの曲などがスピーカーから流される。

 

「’20年春から始まりました。これも、町からの『コロナで沈みがちなみなさんの気持ちを、風さんら地元出身のミュージシャンの音楽で少しでも癒していただこう』との願いが込められています」(前出・樋之津さん)

 

訪れたのは、午後3時ごろ。この猛暑のなか、数人のファンが、藤井の『風よ』に静かに聴き入る姿があった。

 

緑濃い山々を背景に、小さな町を慈しむように渡っていく一陣の風ーー。

 

愛と優しさにあふれた藤井風の音楽を生んだのは、きっとこんな原風景に違いないと、誰しもに思わせる豊穣な時間が流れていた。彼の語り口のようにゆったりと。

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