住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう! わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、憧れていた男性の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。
「吉田栄作さんの『心の旅』(’90年)は、私が初めて買ったCD。当時の細長いシングルのケースを、買ったままの状態で大事に保存していました。吉田さんの柔らかそうな笑顔は優しさが全面にあふれていたし、白いTシャツにデニムという飾らないファッションも、真ん中から分けたサラサラの髪をかき上げる仕草も、本当にカッコいい!」
こう“吉田栄作愛”を語るのは、女優の遠山景織子さん(47)。
年子の3人姉妹の次女。中学生時代はみんなで『夜のヒットスタジオ』(’68年~’90年・フジテレビ系)などの歌番組を見て、それぞれの好きな歌手が登場するとビデオに録画していたという。
「’80年代から中山美穂さんの曲を歌番組で聴いていました。キレイでかわいらしくて、まさに憧れの存在。髪形もマネしていました」
中山美穂本人が作詞作曲を手がけた曲が3曲収録された12枚目のアルバム、『Jeweluna』(’90年)のジャケットには魅了された。
「中山さんが薬指にはめている指輪がかわいくて。地元のお店を何軒もまわって、似たような指輪を見つけたときはうれしかった! 柳葉(敏郎)さんと共演されていた『すてきな片想い』(’90年・フジテレビ系)のテーマ曲『愛してるっていわない!』(’90年)も印象に残っています」
中山美穂ファンだったからこそ巡り合ったのが吉田栄作。
「中山さんが主演の月9ドラマ『君の瞳に恋してる!』(’89年・フジテレビ系)で、初めて吉田さんのことを知って、すぐに大ファンに」
吉田の役は、ヒロインの大学の友達(田中美奈子)の恋人役。まだまだ、メインキャストではなかったが存在感は抜群。
「吉田さん目当てに毎号買っていた『明星』(集英社)のグラビアを切り抜いて、透明下敷きの中に。理科や音楽で教室を移動するときには、わざと吉田さんの顔がみんなに見えるように持って、“栄作ファン”であることを誇示していました(笑)」
ちょうどそのころ、「スカウトされたい」という友人に誘われ原宿に出かけた。
「私自身は、芸能界は考えたこともありませんでした。父が厳しい人で、歌手の横で踊るチアガールを見て『私もやってみたい』と言っただけで、すごく怒りだしましたから。私の目的は、竹下通りのタレントショップに行って、中山美穂さんや吉田栄作さんのブロマイドを買うことだったんです」
ところが、竹下通りで遠山さんは3人のスカウトマンから声をかけられた。
「3枚の名刺をいただきましたが、どこに電話をしたらいいのかわからず、いちばん最初に声をかけてくれた人に連絡しました。当時は電車に乗って遊びに行くことも禁止されていたので、父には原宿ではなく地元でスカウトされたことに(笑)。意外にも父は芸能活動を許してくれ、一緒に原宿に行った友人も応援してくれました」