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2022年も多くの偉大なスターが、たくさんの思い出をわれわれに残してこの世を去った。そんな故人と親交が深かった方々から届いた、愛あふれるラストメッセージを紹介。題して、「星になった有名人」ーー在りし日の姿に、心からの哀悼の意を表して。

 

■森英恵さん(享年96・ファッションデザイナー・8月11日没)へ。黒柳徹子(女優・ユニセフ親善大使)

 

私は、森英恵先生にたくさんの素敵なお洋服を作っていただきました。森先生のお洋服は女性的で、感覚的で、しかも品格があり、外国のどこに着て行っても堂々としていられました。

 

50年ほど前、私がニューヨークの演劇学校に留学していたとき、友人のヘアスタイリスト・須賀勇介さんにご紹介いただき、初めてお目にかかりました。

 

当時の森先生は「マダム・バタフライ」と呼ばれ、新進気鋭の日本人デザイナーとして米国で大人気でした。私と同じぐらいの早口。でも、相手の話に全神経を傾け、優しくて、笑うことが大好きで、美しいものを目ざとく見つけ、すごく大人で……。私にとって女学校の先輩のような存在でした。

 

そんな森先生のことを、私はすっかり大好きになり、心から憧れてしまいました。

 

東京女子大学にお入りになり、結婚もなさり、お子さんも育てながら洋裁の学校に入って勉強なさって、服飾デザイナーになった方です。ご主人の励ましも良かったのだと思いますが、めったに存在しない優れた女性。

 

森先生は、こんなことをおっしゃっていました。

 

「ファッションの仕事は、明日よりももっと先のほうを見ていないと成り立たないのよ。良いファッション感覚を養うには、たくさん経験をすること。そして何より大切なことは、冷静に自分を見つめて、よく知ること。自分に磨きをかけて、内側から滲にじみ出てくるものが、最後の味つけ。見かけだけというのは魅力になりません」

 

私は、いつまでも、先生のお洋服が着られるように、美しく生きていたいと思います。

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