■一番嬉しいのは企業が主催してくれることです
「企業や行政が引き継いで主催してくださるなら、コンテンツとしては開催したいですが、私たちGet in touchが主催で『まぜこぜ一座』オールスターズの公演をするのはもう難しいですね。Get in touchはあくまでボランティア団体で、本業がありますから。これほどの規模の公演をするには半年くらい準備する必要があって、当然お金もかかるし、アウトソーシングもしないといけないし……。
これまで『もう限界だな』と感じることもあったので、本当は今回の公演をするつもりはありませんでした。でも東京オリンピック・パラリンピックが終わった後、レガシーに取り組むことが重要であるはずなのに、あまりそういう動きが見られませんよね? そこで、この公演主催を決意しました」
東日本大震災が発生した際、避難所で障がい者やセクシュアル・マイノリティが追いやられていることにショックを受けた東。そこでGet in touchを発足し、’12年10月に法人化することに。代表11年目となる東は「大変な思い出のほうが多いかな。やっぱりお金の面ですよね」といい、こう続ける。
「Get in touchはボランティアで活動していますから、ビジネスライクに割り切って活動することはできません。お金という道具があると私たちはもっと自由により良い表現ができる。でも、本業をやめて会社組織にするということは望んでいません。社会を変えたいのに、“社会を変えるための会社”を継続することが目標になるなんて本末転倒。まぜこぜの社会を実現させて、Get in touchを解散させることが目標ですから」
東は「一番嬉しいのは企業が主催してくれることです」という。
「シルク・ドゥ・ソレイユは、毎回“ダイハツ・プレゼンツ”ですよね? SDGsに取り組む企業は増えていますし、まぜこぜ一座もSDGsの複数の目標項目をクリアしていると思います。それでも企業からサポートの声はなかなかかかりません。ただ私たちの努力不足で、公演そのものが周知されていないという点もあるでしょうね」