スタジオで息子のルイ君と 画像を見る

【前編】オリコン常連で中卒の作詞作曲家・岡嶋かな多さん「音楽を作って辛さも悲しさも成仏させてきた」から続く

 

「すみません! ギリギリになっちゃって」

 

2月初旬の、よく晴れた日の正午前。東京・恵比寿駅に近いビルの地下にある音楽スタジオへ、駆け込んできた一人の女性。小柄な体に、ブルーに染めた髪がよく似合っている。

 

「今朝、子供たちが、なかなかすんなりと保育園に行ってくれなくて……次男の夜泣きがハンパないって嘆いてたら、長男の赤ちゃん返りまで始まって、毎日、寝不足です。世の中のお母さんたち、ほんとスゴイです、尊敬します」

 

インタビュー前に写真撮影の準備をしていると、10分ほどして彼女の夫が現れた。ならば、まずはご夫婦でのツーショットを、とお願いすると、

 

「えっ、僕もですか。こんなパジャマみたいな格好でいいのかな」
「ふだんどおりがいいんだよ。ほら、表情、硬いよ(笑)」

 

途端に、いつもこうと思わせる夫婦間の軽妙な会話が始まった。

 

「じゃ、僕は、主役の彼女のちょっとうしろに。いつも、一歩引くタイプなので」 「そう言いつつ、意外と目立ちたがりなんですよ」 「それ、言うかな(笑)」

 

なるほど、この夫婦間の信頼があって彼女は曲作りに邁進できているのだな、と取材前から感じ取れた。

 

実は彼女、500曲以上の制作に参加して、オリコンチャートの1位獲得は120回超えという作詞作曲家で音楽プロデューサーの岡嶋かな多さん(38)。夫で、フリーのPRプランナーの澤田知之さん(35)との間に2人の息子がいる、ママでもある。

 

手がけたアーティストは、Snow ManKing&Prince安室奈美恵らに加え、BTS、NiziUなど、グローバルな活躍が続いている。そんな彼女は中学卒業後、15歳にして音楽業界に飛び込んだ。バンド活動を通し、自らが歌うことを夢としてきたが、作詞の仕事をするうちに天職だと悟り、今も作詞作曲道を驀進中だ。

 

’17年、作詞作曲を手がけた三浦大知の『EXCITE』で日本レコード大賞優秀作品賞受賞、同じくBTS『Crystal Snow』が17カ国で1位に。翌’18年にはボーカルディレクションを担当した安室奈美恵のベストアルバム『Finally』がダブルミリオンヒット。そして’20年、CDが売れないと嘆かれるなか、作詞したSnow Manの『KISSIN’ MY LIPS』がミリオンセラーに。

 

多忙な毎日となっていたが、20代の間は、私生活で結婚や子供を持つことへの願望はまったくなかったとふり返る。

 

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