弁護士・大渕愛子 専業主婦志望だった中高生時代
画像を見る 専業主婦志望だった高校生の頃の大渕弁護士

 

■進路に迷っていた時期に転機となった2本の映画

 

トレンディドラマ全盛だった時代、『振り返れば奴がいる』(’93年・フジテレビ系)も忘れられない作品だ。

 

「病院を舞台に、織田裕二さんが演じる天才肌の医師・司馬江太郞と、石黒賢さんが演じるチームの結束を重んじる努力型の医師・石川玄との対立が描かれていました。どちらも魅力的なのですが、“いい人”そうな石黒さんにより感情移入。石川先生は病気で亡くなり、司馬先生も過去の対立相手に刺されてしまう衝撃的なラストだったので、いまだに忘れられないドラマになっています」

 

医療や法廷がテーマの作品を好んで見ることが多くなった高校時代、自身の進路を決めかねていた。

 

高2の3学期に進路を決めるのですが、そのままエスカレーター式に併設の四大や短大に進んでいいのか……、具体的に将来の夢が抱けずにいました」

 

そんな時期に見た、2本の映画が大きな転機となった。

 

「1本は『告発』(’95年)という映画。貧しい少年が妹のためにわずか5ドルを盗んだ罪で25年の刑期が言い渡されて、極悪人が収容されるアルカトラズ刑務所に」

 

主人公は刑務所でいじめを受け、ついには囚人を殺してしまう。

 

「そこで弁護士が登場、逆に刑務所内での虐待の事実をつまびらかにしアルカトラズ刑務所を告発。そして、ついには閉鎖に追い込むという実話を基にした物語」

 

もう1本の映画が『ショーシャンクの空に』だ。妻とその愛人を殺した容疑で刑務所に入れられた銀行員の、ショーシャンク刑務所での過酷な生活が描かれている。

 

「絶望的な状況のなか、自暴自棄にならず、有能な銀行員としての知恵をフル回転させて立ち回り、仲間や看守の信頼を得ていきます。少しずつ偶然が重なって、脱獄という目的を達成。噓みたいな展開ですが、とてもリアルに描かれていて、難局でも自分の頭脳で乗り越えていく主人公にくぎ付けになりました」

 

大渕さんも、自分で道を切り開くための知識やスキルを身につけたいと思い立った。

 

「法律や裁判を扱った映画が好きだったことと、親戚に法曹関係者がいたことが重なり、弁護士になりたいという道を見つけることができました」

 

併設の女子大への進学をとりやめ、法学部に絞って大学受験。大学在学中に、司法試験に初挑戦し、パスしたのだった。

 

「今のようにSNSやYouTubeで情報が得られなかった’90年代、映画や本、ドラマなどが世界を広げてくれました。なかには、人生を変えてくれるほどの作品に出合うこともあるのですね」

 

【PROFILE】

大渕愛子

’77年、東京都生まれ。大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として活動。’10年に独立して法律事務所(現アムール法律事務所)を開所した。『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)にレギュラー出演していたことも。俳優の金山一彦と結婚し、3児を育てるママでもある

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