住んでいた場所は違っても、年齢が近ければ「そうそう!わかる」って盛り上がれるのが、青春時代、夢中になった歌手の話。各界で活躍する同世代の女性と一緒に、“あのころ”を振り返ってみましょうーー。
「ホリプロタレントスカウトキャラバンの審査員特別賞をいただいたことで、高校入学を機に単身上京。すぐに仕事が忙しくなったので、たまに友達とカラオケに行ったのは大事な思い出。あゆ(浜崎あゆみ)の曲は取り合いでした。ホームシックにかかったり、自信をなくして落ち込んだり、元気が欲しいとき、あゆの曲がいつもそばにありました」
そう’90年代を振り返るのは、タレントの新山千春さん(42)。幼いころから、ドラマと歌番組が大好きなテレビっ子だったという。
「2つ上の兄がいて、小学生のころから一緒にドラマを見たりしていました。いちばん覚えているのが、5年生のときに見た『101回目のプロポーズ』(’91年・フジテレビ系)。幼な心に“このドラマは絶対ヒットする”っていう予感がしたので、VHSのビデオデッキで全部録画しておいたんです。まだ実家にビデオテープがあるはず」
ドラマを何度も見て、セリフを書いて覚えたりもしていた。
「浅野温子さんの役名、矢吹薫もメモっていました(笑)。ドラマの中でショパンの『別れの曲』を弾く場面があるのですが、実はとても難しい曲。ピアノ教本の難易度表でも最も難しいFランクだったと思います。当時の私はまだ初心者レベルだったので、とにかくたくさん練習しました。そのおかげで、今でも弾けるんです。浅野温子さんが髪の毛をかき上げて、コーヒーカップについたリップを指で拭う姿には見入ってしまいました。そのころから“いつかドラマに関わる人になりたい”という思いが募るように」
禁断の恋を描いて話題となった野島伸司脚本のドラマも記憶に残っているという。
「『高校教師』(’93年・TBS系)の桜井幸子さんは、透明感があるんだけど、どこか儚げな女子高生を演じていて、心に残っています。森田童子さんが歌う主題歌『ぼくたちの失敗』(’76年)も印象的。私にとってひと世代前の曲でしたが、今のZ世代のコが’90年代の曲を聴くような感覚なのかもしれません。名曲は、いつ聴いても心に響くものですよね」
中学生になって入部したソフトボール部は、県大会に出場するほどの強豪だった。
「放課後も遅くまで練習。千本ノックや滑り込みをしているので、いつも傷だらけ。練習中は水を飲むこともできない時代、いつも帰宅するころにはくたくた。テレビに癒してもらっていました」