■50代になって芽生えた「自分の家族」への願望
司会の仕事に携わることを決める少し前、現在のご主人が、事業を行うため単身ハワイへ。同世代の仲間の挑戦を、友人として応援していたという。
「同じような時期に、お互いに『新しいステージ』を迎えたという部分で、シンパシーを感じたんですよね。ハワイと東京という、物理的な距離は離れましたが、以前よりコミュニケーションをとるようになり、仕事のことだけでなく、高齢の親についても相談するように」
大島さんは45歳のときに父親を亡くし、その後、母親も病気に。自宅や施設での介護も経験している。
「姉がいますが、結婚して家族がいるので、仕事が忙しいとはいえ自由のきく私が率先して介護をしていた感じです。一方の彼も一人っ子で早くにお母さまを亡くしていて、高齢のお父さまと2人家族という状況で。話すことで、お互いの支えになっていたと思います」
また、「親はいつかいなくなる」という現実と向き合い、自分が一人であることを実感したという。
「父が亡くなるまで、親がいることは当たり前で、『一人になる』という感覚が一切なかったんです。20代から一人暮らしでしたし、実家に寄り付かないなんてこともふつうだったので、物理的なことではなくて、両親の存在が心の支えになっていたんでしょうね。母もいつ亡くなるかわからない、というような状況のなかで、初めて家族というものを意識しました」
寂しさを感じたということかと尋ねると、しばらく考えたあと、
「というよりは、一人になることへの恐れ、不安……。本当に一人になったらどうなるんだろう、という不安だと思います。たとえば、自分が病気になるとか、トラブルに遭ったときに、いちばん最初に助けてくれるのは家族ですよね。友人とはちょっと違いますし、姉には姉の家族がいるので……」
この不安を受け入れたことで、「一人で生きていくだろう」という気持ちが揺らぎ始めたという。50代に入ったころには「自分の家族」への願望が芽生えた。
「当時、すでに主人とお付き合いをしていたので、お互いにいろいろと話していくなかで、『やっぱり誰かと一緒にいたい!』という結論に至りました。2人でいたら、この不安が少しは解消されるのかな、という気持ちになったんです」
そして’12年、53歳のときに結婚。「一緒にいる」ことが目的ならば、籍を入れずパートナーという選択肢もあったのだろうか。
「私たちの結婚は『家族』がキーワードだと思います。パートナーを選択する方も当然いると思いますし、それこそ家族と変わらないという方もいると思います。ただ、私たちは東京とハワイという距離があったので、ずるずると遠距離恋愛が続く可能性もあったんですよね。籍を入れて家族になることで、2人が一緒にいられる場所をつくっていくことが大切でした」
結婚を機に、生放送だった『レディス4』の卒業を申し出たという。とても大きな決断だったのでは?
「そういう決断ができたのが53歳だったんでしょうね。それだけ自分の家族をつくりたいと本気で思ったということ。昨年、母が亡くなりましたが、主人がいてくれて本当によかったと思いました。コロナ禍では、数カ月会えなかったり、逆に数カ月一緒にいられたり、いろいろありましたが、家族だから『一緒にいていい』という安心感に気づけたことも大きいです」
近年、芸能界で50代以上での結婚が増えていることを尋ねると、
「私が結婚した11年前は、浅野ゆう子ちゃんも、高橋ひとみちゃんも、床嶋佳子ちゃんも、『絶対結婚しない』というような顔しているように見えました(笑)。彼女たちも50代で何か変化があったんだと思いますし、今後はますます時代も変わっていくんでしょうね」
【PROFILE】
おおしま・さとこ
1959年9月17日生まれ。神奈川県出身。1981年、大学在学中に芸能界デビュー。女優、司会者などマルチに活躍。