同期の司会者は、小林さんをこう言って紹介した。
「さっちゃんは、紅白はずっと見るものだと思ってきました。でも、違います。今夜、初出場歌手として立派に歌います。頑張り屋のさっちゃんに、どうか拍手を!」
頭を深々と下げた小林さん。鳴り響く万雷の拍手が聞こえてくる。
「それで顔を上げたら1階席、2階席、3階席……NHKホール全体のお客さんが『おめでとう!』と。あの光景は忘れられません」
26歳で初出場して以来、紅白には33年連続で出場。見る者を圧倒する。ド派手な衣装は年末の風物詩ともなった。
古希を迎えた今でも、ボーカロイド曲に果敢にチャレンジするなど活動の幅を広げ、「ラスボス」「サチリン」のニックネームで若い世代からも支持を集めている。
「まだまだ歌っていないジャンルもあると思っていて。常々思ってるのは『時間が足りないな』ってことなんです」
歌手・小林幸子の進化はまだまだ止まらない。