――山﨑さんが一番苦労されたと思うところは?
「ワイヤーアクションですかね。一般の方が想像するよりすごく難しい技術なので、1個の技をずっと練習していることもありました。今回の場合、空中フォームの美しさが必要だったり、着地もあまりぶれちゃいけなかったりとか、さらに難しかったと思います」
――着地もぶれないって、本当にフュギュアスケートみたいですね。
「はい(笑)」
――監督としては、山﨑さんのアクションの出来映え点は?
「想像以上でした。100点以上ですかね(笑)」
――すごいですね。山﨑さん自身も満足されていましたか?
「比較的みんな満足して、“次のカット撮ろう”と進んでいきました。
ただ納得がいかなくてやり直すシーンも多少はありましたね。人を蹴って空中で回転して、そのまま着地するみたいなカットがあったんです。着地と回転が両方ともうまくいくまで繰り返していました」
――映画、楽しみですね。そういえば今回、山﨑さんが羽生さんのお名前を出したことで、羽生さん側から反応はありましたか?
「自分のほうには特にないですが、SNSで触れてくれた羽生さんのファンは結構いらっしゃいました。羽生さんが直接この作品に関わったわけではないですが、羽生さんのファンの方々も見に来てくれたらうれしいです」
――撮影をしていて、羽生さんと山﨑さんの間になにか共通点は感じましたか?
「シルエットがシャープで、安倍晴明のイメージに適しているところですかね。山﨑さんは役に合わせて体型を調整していて、『陰陽師0』が終わって、『ゴールデンカムイ』の撮影ではかなり筋肉をつけていました」
――なるほど。素の山﨑さんってどういう方ですか?
「すごく面白いですね、ジョークも結構言いますし、僕らアクション部の人間に対しても、すごくフレンドリーに接してくれます。一緒にいる時間が長かったので、会話もたくさんしました。現場全体の雰囲気が和やかで、楽しく撮影していた記憶があります」
――陰陽師という題材でこだわったところは?
「江戸時代などに比べて、平安時代を描いた映画は少ないのもあって、衣装が普段の時代劇とは違いましたね。(山﨑さんが履いていた高い)靴もそうで、やっぱりアクションにも影響しちゃうんで」
――動きづらいですよね。それに慣れるのも大変だったんじゃないですかね。
「袖がとても長くて、アクションで絡んじゃうこともあるので、『これ用の動き方を考えないといけない』みたいなことは山﨑さんも言っていましたね。
他の作品だとジャージでリハーサルをするんですけど、今回は袖のさばき方なども考えて、仮の衣装を着用してアクションを練習していました。大きく手を振ると顔にかぶっちゃったり、烏帽子が思ったより高くてぶつかっちゃったり」
――皆さんのご苦労が詰まった作品ですね。これは是非、羽生さんにも……。
「羽生さんにも観ていただきたいですね、おこがましいんですけど(笑)」