(撮影:須藤敬一) 画像を見る

【前編】「やばい、芸能人生終わった」MEGUMI 明石家さんまの「胸大きいな~」に「うるせ~な」と返し…【美容本がベストセラーになるまで】より続く

 

女優であり、映画プロデューサーであり、ベストセラー美容本の著者。一見華々しい彼女の肩書は、幾度も挫折を味わった末に、手に入れたものだった。

 

18歳、歌手を夢見て上京するも、芽が出ない日々。「何者かにならなきゃ」と必死につかんだグラビアタレントから、MEGUMI(42)のキャリアは始まった。

 

「9割失敗で当たり前。考えるよりも行動して、“ダメなら次”と進み続ける」。令和に花咲く女性は、軽やかな発想を武器に、今日も球を投げる──。

 

■27歳で出産。仕事がなくなり「最近何してるの?」のひと言がつらかった

 

タレントとして順風満帆だった’08年に結婚、’09年に第1子となる長男を出産する。

 

「2800gくらいの子で、『やっと会えたね』と。私は人生で一番の大仕事を終えた気持ちでした」母親になった幸せを「味わったことのない達成感でいっぱい」とかみしめた。

 

産後2週間で雑誌の取材を受けるなど、仕事への意欲は尽きなかったが──。

 

「その後は、オファーをいただくのが“ママタレ”枠の仕事ばかりになりました。『冷蔵庫の中身を見せてください』とか。やりたいことと現実のギャップが大きくて、ダークサイドに入っちゃって……」ママタレのオファーを断っていると、あらゆるオファーが来なくなってしまう。

 

「気づけば仕事がぜんぜんなくなっていました。仕事関係、友達、いろんな人から『最近何やってるの?』『ママ業が忙しくて仕事断ってるんだね?』って言われて」メンタルの不調を感じた彼女は、自己啓発本を読み、カウンセラーに相談したりもした。

 

「子どもが泣いていれば、自分も泣けてくる状態……。病院で診断してもらったら、『産後うつ』と言われたと思います。復帰できなくて、収入も激減しちゃって、この先どうしようって……」

 

たまに来る仕事をポツポツとこなすという状況のなか、ある映画の出演依頼の声がかかる。白石和彌監督『孤狼の血』(’18年公開)で、役所広司演じる刑事と取調室で背徳行為におよぶ人妻という「体当たり」の役だった。

 

「数分と短い尺の出番でしたが、撮影は朝から晩まで丸一日でした。役柄の女性の生活感、話し方、特徴、考えられるプロファイリングをすべて書き出し、頭に入れて撮影に向かいました。死ぬ気で、命がけで臨んだんです」

 

その演技を白石監督から「芝居できるじゃないですか!」とねぎらわれた。続く白石作品『ひとよ』に、今度はなんと主要キャストの一人としてオファーされた。そして同作と『台風家族』での演技が評価され、第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞するのだ。

 

「自宅で受賞の電話を受け、涙が出ましたね。グラビア時代を考えれば、演技が認められるなんて、夢にも思わなかったですから」そして、われに返った。「仕事がないってボヤいていても、なにも始まらない。誰も見てくれない。やっぱり自分から動かなきゃダメなんだ。動いて努力していれば、誰かが見ていてくれる。必ず道は開ける」

 

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