■40代を迎え人生の第2フェーズへ。「迷ったら、怖いほうを選びます」
「息子は、私にとって“弱点”っていうか、息子のことを思うと、感情がコントロールできなくなるんです」’23年春、長男が留学。彼女にとって、私生活に大きな変化があった一年だった。
「母は私が高校生になったころから、私になにも言わなくなった。だから私も、息子のことに一切口を出さないようにしようと思っています。でもこのところ、物理的に距離ができて、強烈に、複雑な思いが巡ってきて……
だからもう最近は、息子の面倒を最優先に見られるのも『ここ2、3年』と、覚悟して向き合っています。いまは3カ月に一度くらいの頻度で向こうに行って、どんな暮らしをしているか見て、息子が好きな餃子をつくって……。そこで、切ないけど、子離れしないとダメですね」
そこまで言うと、MEGUMIは居住まいを正して「仕事モード」に戻った気がした。「私も次のシーズンに行きなさいってことだと思うんです」
人生100年時代とは世にいうが、子育てにひと区切りをつけた後のMEGUMIは、どこに向かうのだろう。
「人生の第2フェーズは海外に向かいたい。日本の俳優のクオリティは高いはずですが、海外を本気でマーケットにしている人は少ないんです。海外の映画祭で日本の作品や、俳優が評価されるための球を投げたい」
5月には、カンヌ国際映画祭が行われているフランスで、日本の映画の魅力をアピールするイベント「ジャパン・ナイト」をプロデュースしてきた。そして現在、スペインと日本の合作映画、イギリス在住の日本人監督の撮る映画と、2本のプロデュース作品が進行している。
「本当に、プロデュース業って、大小さまざまな問題が、ひっきりなしに起きるものです。資金集めに始まって、ロケ弁が届かない、演者が病気になった、スタイリストが来なくなった……でも、それを乗り越えた瞬間が好きなんです」
MEGUMIは「そもそも立てた企画のうち、日の目を見るのはほんの1割程度です」と明かして、次のように結んだ。
「だからいまも、いろんな球を投げているんです。選択肢に迷ったときには、私は、怖いほうを選びます。怖いけれど、やっていく途中で筋肉はついていく。それを繰り返し、経験してきましたから」
次なる一球から、目が離せない。
(取材・文:鈴木利宗/ヘアメーク:KIKKU/スタイリング:ミク)