「『自分はゲイだ』と公表したあと『アーティスト活動を再開する』と言ったとき、ファンのみなさんが喜んでくれて……。あれほど幸せな涙を心の底から流したのはなかなか経験できないものだったと思います。皆さんに色々考えさせてしまったこともあるだろうけれど、受け止めて理解してくれようとしたことは、もう本当に感謝しかないですね」
こう語ったのは、 AAAのメンバーでソロアーティストとしても活躍する與真司郎(36)だ。
男女混合パフォーマンスグループ・AAAのメンバーとして’05年にデビューし、’21年末のグループ活動休止後はソロのアーティストとしても活動を休止。’23年7月に、ファン2000人を前に自身が同性愛者であることをカミングアウトし、ソロアーティストとしての活動再開を報告した。その公表は大きな拍手をもって迎えられ、様々なメディアでも取り上げられた。
16歳で芸能界デビューを果たした與にとって、自身のセクシュアリティを隠すことは“当たり前のこと”だった。
「やっぱり、メディアの影響って大きいと思うんですよ。当時のテレビはゲイのことを『男同士で気持ち悪い』という扱いでしたから。僕が小さいときはLGBTQ+という言葉もなくて、SNSはもちろんなかった。ゲイが主人公の映画も少なくて、自分で勉強する機会もなく、『自分は病気なんだな』って思っていました。
そういう状況だったのでデビューしてからも、自分がゲイだって誰かに打ち明けることは難しく、『ゲイであることは駄目なことなんだな』って刷り込まれてしまっていたといいますか…だから、隠すしかなかったんです」
さらに、インタビューなどを受ける機会の多い“芸能人”ならではの経験もあった。
「『好きな女性のタイプは?』って何気ない質問ですが、ゲイでないことが前提とされていますよね。そういう時、恋愛対象でない女性でも可愛いなと思う人はたくさんいるので、『こういうタイプが好きです』と答える。でもそれって、確かに“好きな女性のタイプ”だから嘘じゃないんですよね。
ただ『理想のデートは?』と聞かれたときは、ゲイでない男性なら女性とのデートを思い描いて話せますが、僕の場合は答えるときにまず男の人とのデートを想像して、それから女性とのデートに変換して話していました。そのことでストレスが溜まるようなことは一度もないんですけど、ただちょっと面倒くさい(笑)。それに、そういった細かい嘘が重なることで、ファンのかたにも申し訳ないなっていう気持ちもありました」
