《子宮がんを乗り越えて…》原千晶さん 800人の患者と向き合い続けた15年「一人ひとりの“生きた証”を残したい」
画像を見る 女性特有のがんの患者の交流会を主宰する原千晶(撮影:長谷川新)

 

■「遺伝子検査の結果を見て心が軽くなった」

 

最初の手術から10年以上経ったころ、原さんは講演で出会った医師に家族歴を話したところ、治験で遺伝子検査を受けることを勧められた。

 

結果は「リンチ症候群」陽性。これは原さんの罹患した子宮体がんと、実父が患った大腸がんの既往に関連する遺伝性疾患で、若年性のがんリスクが高いこともわかった。

 

「ショックよりも心が軽くなりました。私はなぜ30代で2度も子宮のがんになったのかという疑問を抱えていたので。ここで理由がわかり『そういうことだったのか』と腑に落ちたのです」

 

術後13年目の2023年に、左足のリンパ浮腫を発症してしまう。子宮全摘術の際にリンパ節郭清を行うと、リンパの流れが滞ることで起こる疾患だ。

 

「用心はしていましたが、熱中していた釣りが誘因となった可能性も。座りっぱなしがよくないそうなんです」

 

昨年はLVA(リンパ管静脈吻合術)という日帰り手術を受け、いまは朝起きたら膝下の着圧ストッキングを着用するのが日課に。

 

「早期発見だったので、むくみは軽症で済んで本当にありがたいです。いまストッキングは保険適用で年間4本まで3割負担で購入可能になり、消耗品なのでローテーションして使っています」

 

ストッキングが必須アイテムになったが、それでもいま、原さんは前向きだ。

 

「もうすっかり『がんじゃありません』とは言い切れませんが、過度に気にしすぎず、でもしっかり注視しながら人生を楽しもうと思います」

 

抗がん剤を経験したからこそ、免疫を下げない生活を心がけて、自然治癒力にも気を配るようになった。

 

「とにかく体が冷え切っていたことは思い当たるので、いまは温活に励んでいます。睡眠もしっかりとることを心がけ、ストレスをためないようにしているんです」

 

52歳になったいま、原さんは、千葉の外房へ移住。「人生のまとめの時期」と感じながらも、好きな釣りを全力で楽しみつつ、よつばの会で集めた800人の物語を発信する新しい目標を抱いている。

 

「私にしかできない財産です。みんなの声を形に残したい」

 

2度のがん、遺伝的要因の判明、リンパ浮腫の手術――。

 

過酷な経験をバネにして、原さんはいまも「がん経験者として伝えられること」を前向きに続けている。

 

【PROFILE】

原千晶

タレント・女優として活躍していた30歳で子宮頸がん、35歳で子宮体がんが発見され子宮全摘手術と抗がん剤治療を受け克服。「よつばの会」を主宰。

 

(取材・文/本荘その子)

 

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