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Vogue

先週金曜、米国版Vogue最新号が発売された。Vogueといえば、泣く子も黙るモード誌界の女王だ。19世紀の創刊以来トレンドを牽引し、あらゆるファッショニスタ達の注目を集め続けている。そんなVogue最新号の表紙を飾ったのは、アカデミー女優でもスーパーモデルでもなく、キム・カーダシアンとカニエ・ウェストだった。キム本人は「夢が叶ったわ!!! 表紙にしてくれたありがとうVogue! ああ神様!!! 息もできない!」とInstagramで喜びを爆発させているが、世界中からは不満が噴出している。

キム・カーダシアンは、確かに裕福な家に育った“セレブ”ではあるが、かつては親友パリス・ヒルトンの引き立て役のような立ち位置にいた。しかし、リアリティ番組「Keeping up with the Kardashians」で大ブレイクし、知名度もギャラもヒルトンと逆転。お互いにインタビューやイベントなどでチクチクと嫌味を発信し合うなど、今では犬猿の仲だと言われている。

ハイブランドの洋服や小物で身を固め、プライベートジェットで世界各国を飛び回るキムの話題がメディアに上らない日はない。パパラッチやレポーターは彼女の一挙手一投足に注目し、どこまでも追いかけ回す。Instagramに投稿したどうということもない写真までニュース化される。しかし、キム・カーダシアンの有名人としての“格”は決して高いとはいえない。歌手でも女優でもモデルでもない。所詮は「私生活を切り売りしてゴシップで稼ぐテレビタレント」でしかないのだ。

そんなキムがタブロイド紙ではなく、あろうことかVogueの表紙を飾ったことで、「聖域を侵された」と感じる人は少なくない。Twitterで見られた各界の反応をご紹介しよう。

『バフィー 〜恋する十字架〜』などで知られる女優のサラ・ミシェル・ゲラーは「Vogueの定期購読を止めようかと思ってる。私と同じ考えの人はいる?」とボイコットの意志を表明。同じコンデナスト・パブリケーションが出版するVanity Fair誌も「信じられない」と呆然。ライバルのELLE誌に至っては「キム・カーダシアンの表紙、ご覧になりました? こちらに60秒で心を静める方法を載せています」と自社記事の宣伝をしてうまく乗っかってみせた。

また、「次の表紙にはハニー・ブー・ブーがいいんじゃない?」などど、同じようにリアリティ番組で有名になった子供を引き合いに出したり、「キム・KがVogueの表紙をかっさらったことに怒ってるあなた、パリス・ヒルトンの気持ちを考えてみて! 『あのデカ尻女、私のマネばっかしてたくせに』とか思ってるよ」と元親友に飛び火させてみたり、さらには「安らかに眠れVogue。1982年12月〜2014年4月」と勝手に追悼する人まで現れる始末。

ファッション界の超大物で米Vogueの編集長を務めるアナ・ウィンターは、「Vogueを編集する喜びの一つは、文化を定義できる人をいつでもフィーチャーできる、という点です。我々全員が、現代においてはキムとカニエがこの役割を担っているということで一致しました」と起用の理由を語っている。

グラビアページでは、2人が砂漠の道路を歩いているシーンや、プライベートジェットの中でくつろぐ様子が収められている。撮影は写真家のアニー・リーボヴィッツ。

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