Miami Herald
開催中のマイアミ・アート・バーゼルにおいて、出展されていたピカソ作品が盗難に遭っていたことがわかった。
件の作品は絵画ではなく、「Visage aux Mains」という顔を象った銀製のプレート20枚から成るコレクションの1枚で「No.16」と呼ばれているもの。85,000ドル(約1,030万円)の価値があるというこのプレートが4日深夜から5日早朝にかけて忽然と姿を消してしまったのだ。
作品の所有者であるレスリー・スミス・ギャラリーのオーナー、デヴィッド・スミス氏がマイアミ・ヘラルド紙に語ったところによると、5日朝に自身のブースで見たものは、スポットライトが何もない壁を照らしている虚しい光景であったという。「私はこれまでに何度もアートショーを行ってきたが、何かを盗まれたことは一度もない」と断言。初の窃盗としてマイアミ警察に通報した。
それぞれのブースを撮っている監視カメラ映像や目撃証言はないものの、建物のすべての入り口には24時間体勢で警備委員が詰めていた。問題の晩、警備員に止められることなくブースに近づくことができたのは、フェアの従業員と掃除業者、そしてブースを管理する技術者のみ。
スミス氏は盗難に遭って失われてしまった芸術作品を管理するデータベース「ロス・レジスター」にこの件を報告。これによって警戒網が敷かれるため、「(盗んだものを)売り払うのは難しいだろう」とコメントしている。
余談であるが、盗まれたプレートの隣に展示されている陶器の評価額は36万5千ドル(約4,425万円)だという。こちらではなく、一見高そうな銀の盆を選んだということは、この犯人は芸術に精通した人間ではないのかもしれない。