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ワシントンD.C.の国立肖像画美術館には、ビル・クリントン元大統領の肖像画が収蔵されている。大統領執務室の暖炉の前で右手に新聞を持ち、左手は腰にあてて悠然と微笑む第42代合衆国大統領。2006年の除幕式では、自らロープを引いて誇らしげに披露していた。それから約9年。この絵にとんでもない罠が仕込まれていたことが発覚した。

 

肖像画を描いたアーティスト、ネルソン・シャンクスがフィラデルフィア・デイリー・ニュース紙のインタビューで、「あの絵にモニカ・ルインスキーの影を描きこんだ」と告白したのだ。暖炉に映る人影は、青いドレスを着せたマネキンのもの。元大統領が居合わせている現場には当然持ち込まず、一人で作業しているときにマネキンを置いて影を暖炉にうつし、それを描いたのだという。

 

モニカ・ルインスキーはホワイトハウス実習生をしていた20代前半の頃に、クリントン元大統領と不倫。セクハラ訴訟で元大統領はルインスキーとの関係を否認したが、精液のついた青いドレスが証拠として提出された。果たしてDNAは一致し元大統領は一転、実習生と“不適切な関係”にあったことを認め、米国全土を巻き込む大スキャンダルへと発展した。このことから、「ルインスキーといえば白いシミのついた青いドレス」という図式が出来上がったのだ。

 

「彼は史上最も有名な嘘つきです。すばらしい業績も残したでしょうが、私はモニカの存在を頭から取り去ることができなかった。だからそれとはわからぬよう、彼女を絵に取り入れたんです。彼が占有していた大統領執務室に女性を影で表す。ある種のメタファーですね」

 

シャンクスによると、これを知ったクリントン家は激怒。国立肖像画美術館に対し、肖像画をただちに撤去するよう求めているという。しかしABCニュースが同美術館に取材したところ、そういった要請は来ていないとのこと。現在、この肖像画は展示されていないが、コレクションとして収蔵されている。

 

ちなみにこの絵は2006年の公開当時も、左手に結婚指輪が描かれていないことが論争の的となっていた。

 

The Atlantic

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