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『夜に生きる』のプレミアで兄弟仲良くツーショット

(写真:REX FEATURES/アフロ)

マット・デイモン制作の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が今年度アカデミー賞で6部門にノミネートされた。主演はケイシー・アフレック。重いテーマを背負う作品で、演技の幅の広さを要求される難しい役どころを見事に演じきり、主演男優賞にノミネートされた。「ベン・アフレックの弟」という肩書ばかりがクローズアップされてきたケイシーに、ようやく役者としての黄金期が訪れたようだ。

 

その一方で、兄ベンのキャリアには暗雲が立ちこめている。バットマン役を務めた『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』はその年の最低映画に送られるゴールデン・ラズベリー賞に8部門もノミネートされてしまった。作品賞をはじめ、最低男優賞にもスーパーマン役のヘンリー・カヴィルと仲良く候補入り。

 

そして昨年12月に公開された主演映画『夜に生きる』が、7500万ドル(約86億3600万円)の損失を計上する見込みであることがわかったとVariety誌が報じた。デニス・ルヘインの同名小説を映画化、ベン自身が監督、脚本、制作、主演を務めるほど肝煎りの作品だった。禁酒法時代のボストンとフロリダを舞台に、ラム酒の密輸を営みながらギャングとして頭角を現していく男を描き、重厚なドラマに仕上がっていたはずだった。

 

しかし蓋を開けてみると、批評家からの評価は惨憺たるもの。「ドラマ性を欠いており、支離滅裂」と一刀両断にされ、映画レビューサイトRotten Tomatoesでも支持率は32%にとどまっている。制作費は6500万ドル、さらに配給とマーケティングに数千万ドルのコストがかかっているが、公開後約1か月間の累計興行収入はわずか1650万ドル。制作費を回収できないばかりか、巨額の赤字を出す結果となってしまったのだ

 

配給会社はベンと縁の深い米ワーナー・ブラザース。ベンが監督・主演を務めた『アルゴ』(2012)ではアカデミー賞作品賞を受賞し、昨年10月に公開された主演映画『ザ・コンサルタント』も全世界興行収入1億5100万ドルと、大ヒットとまでは言えずとも健闘している。単独のバットマン作品の監督および主演を務める計画も進められており、彼とワーナー・ブラザースは長い蜜月状態にあると言って良い。

 

ベンの作品がこれほどの興行的失敗に終わるのはまさに前代未聞。今後両者の関係に変化が訪れることになるかもしれない。『夜に生きる』の失敗について、ワーナー・ブラザース側はコメントを避けている。

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