(写真:Shutterstock/アフロ)

『ラ・ラ・ランド』でアカデミー主演女優賞を受賞し、名実共に大物女優の1人となったエマ・ストーン(29)。Netflixのドラマシリーズ『マニアック』では主演と制作総指揮を兼任するなど、順風満帆にキャリアを積み上げている彼女だが、実は幼い頃から不安障害とパニック発作と闘い続けてきたという。

 

「1年生から2年生に上がる時、初めてパニック発作を起こしたの。あれは本当に、本当に恐ろしくて、想像を絶していた」

 

ストーンはニューヨークで開催されているアドバタイジング・ウィークのセッションでこう切り出した。聞き手は小児精神研究所のハロルド・S・コプルウィクス医師だ。

 

「私は友達の家にいたんだけど、いきなり、この家は火事になって焼け落ちちゃう、と思い込んでしまって。ただ部屋に座っていただけだし、家の周りには火の気なんかなかった。でも、死んでしまう、という以外の考えが浮かんでこないの」

 

この恐ろしい経験の後、彼女は母親から離れることを極端に恐れるようになり、友達の家に遊びに行くこともなくなってしまった。2年以上に渡って突如襲われる不安に苛まれ続け、学校では毎日のように保健室の扉を叩いた。そのたびに母親を呼び出しては、連れ帰ってもらっていたという。

 

その後、セラピーへ通うようになったが、セラピストは不安障害とパニック発作という診断をあえて彼女本人には伝えなかった。将来の夢の妨げとなる可能性が高かったからだ。

 

「障害を黙っていてくれてとても感謝しているわ。私はその頃から俳優になりかったけど、パニック発作を抱えていると話すような俳優は多くなかったでしょ」

 

やがて演技の仕事を始めると、心は徐々に落ち着きを取り戻していった。「きっと演技や即興演技がセラピーの役割を担ってくれていたと思う」と彼女は振り返る。

 

そして、不安は時に「すごい力」になり得る、と語った。

 

「不安や抑うつを抱えている人はとても繊細で、とても賢いと思う。だって、この世界はすごくハードで恐怖に満ちていて、いろんなことが起こっているでしょ? そこに本当に自分を順応させようとしたら、きっと本来だったら心がメチャクチャになってると思う。でも自分を抑えて、ポジティブで生産的な活動ができてる。これってものすごい力だと思わない?」

 

コプルウィクス医師によると、米国では子どもの5人に1人が何らかの精神疾患を抱えており、中でも不安障害は最も多い症例だという。