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世界的に猫の人気は留まるところを知らないが、かわいいというだけでむやみに野良猫をかわいがったり、エサをあげたりするととんでもない事態に陥ってしまうかもしれない。

 

Kaiser Health News(KHN)によると、フロリダ州に住む野生生物学者ジャネット・パーカーさんは昨年9月、エヴァーグレイズ国立公園そばの道路で黒い子猫を見つけた。子猫は弱々しく、病気にかかっているように見えた。パーカーさんは子猫を抱き上げ、車に積んでいたツナ缶を開けて食べさせようとしたが、子猫は暴れてパーカーさんの手に噛み付いたという。

 

狂犬病を心配したパーカーさんは自宅近くの保健所に車を走らせたが、運悪く開所時間ではなかった。仕方なく向かったマリナーズ病院ではERに通され、二種類の注射と抗生物質の投与を受けた。これで一安心、と胸をなで下ろしたのもつかの間、請求書には48,512ドル(約542万円)という目を疑う数字が印字されていたという。

 

この請求額のうち、46,422ドルは狂犬病免疫グロブリンとして知られる予防薬の価格で、パーカーさんはこの薬を12ミリリットル投与されていた。

 

「免疫グロブリンが高価であることは知っていましたが、これほどではないはず。動揺してしまったのでしばらく座って心を落ち着けてから病院に確認したところ、『ええ、それで間違いありません』と」

 

KHNによると、狂犬病免疫グロブリンの薬価は1ミリリットルあたり361.26ドル(約40,380円)だという。12ミリリットルであれば4,335ドル(約484,500円)で収まるはずだ。それが一体なぜ10倍以上もの価格に跳ね上がったのだろうか。

 

マリナーズ病院のスポークスパーソンを務めるドリ・アルバレズ氏がKHNに語ったところによると、この薬の定価は2018年9月22日に変更され、パーカーさんが治療を受けたのは、病院が新しい価格を患者への請求に反映させた後だったという。当時、病院はこの薬2ミリリットルあたり7,737ドル(約865,000円)を請求していた。しかしその2カ月後、病院は2ミリリットルあたり1,650ドル(約184,000円)に大幅値下げ。アルバレズ氏は、なぜ価格がこのように乱高下するに至ったかについてはコメントしていない。

 

幸いなことにパーカーさんの夫が連邦政府職員だったため、アメリカ郵政職員労働組合の保険が適用され、支払いは4,191ドル(約468,600円)だけで済んだ。全額は支払わずに済んだとはいえ、大きな出費であることに変わりはない。パーカーさんは「葬儀の方が安く上がったでしょうね」と皮肉を交えて語った。

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