飛行機から引きずり下ろされたアジア系医師 当時の恐怖初めて語る
事件から2週間後、ダオさんの長女クリスタル・ダオ・ペッパーさんはユナイテッド航空に対し訴訟を起こすことを会見で発表した(写真:Abaca/アフロ)

2017年4月、ユナイテッド航空の機内で無理矢理座席から引き剥がされ、血を流しながら泣き叫ぶ男性の動画がSNSで拡散されて話題となった。この男性が2年の時を経て初めて、当時の心境を米ABCニュースで語った。

 

ケンタッキー州在住の医師、デイヴィッド・ダオさんはあの日、シカゴから地元に戻るユナイテッド航空3411便に搭乗した。シートベルトを着けて離陸を待っていると、オーバーブッキングを理由に飛行機を降りるよう係員に告げられた。ダオさんはこの日、退役軍人のために設立した診療所を視察する予定があったため申し出を拒否し、友人に電話をかけてどうするべきか助言をあおいだ。すると、係員は彼の体を掴み、力ずくで座席から引き剥がし、倒れた状態の彼を引きずって出口へと向かった。他の乗客が一部始終をスマートフォンで録画していたため、ユナイテッド航空の暴挙はすぐに明るみに出た。

 

「とにかく泣きました。数カ月はあの時の映像を見ることができませんでした。そして、テレビで見たとき、また泣きました」とダオさんは振り返る。

 

ダオさんは座席から立たされたときに天井に頭をぶつけ、それ以降の記憶がないという。目覚めたとき、彼は病院で外傷チームの治療を受けていた。脳しんとうを起こし、鼻と口に裂傷を負い、さらに歯も何本か折れていた。入院中は自殺しないように監視をつけられ、数カ月かけて歩行のリハビリを行ったという。

 

「『もし良くなったら、もっと慈善事業に打ち込みます』と神に誓いました。その後、ハリケーン・ハーヴィー被害に遭ったテキサスの人々を助け、ベトナムとカンボジアの村で太陽光発電を導入する手伝いなどを行いました。アジアの辺境でも、私のあの事件は知れ渡っていましたよ」(ダオさん)

 

事件前はマラソン大会にも出場していたが、今は5キロメートルも走ることができない。また、現在もなお不眠に悩まされていると語る。

 

あの時、ユナイテッド航空はどうするべきだったと思うか、と問われたダオさんは「もっとうまく、納得がいくように説明するべきでした。そうすれば結果は違ったでしょう。しかし、航空会社は方針を慎重に検討し、改善する方向に向かいました。その点で、私の試練は無駄ではなかったと思います」と答えた。

 

ユナイテッド航空は「3411便の一件は、ユナイテッド航空のその後を決定づけました。9万人の従業員がこの経験から学び続けることを、会社として責任もってお約束します。我々のビジネスのあらゆる側面を見直し、お客様の最善の利益を最優先としてまいります」と声明を発表している。

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