「王は君臨すれども統治せず」という原則である立憲君主制のもと、英国の国王や王室は、政治に直接的に関与することは少ない。選挙での投票などはもってのほかであり、公の場で政府の決定に口を出すことなどもなかった。
しかし、サセックス公爵夫人メーガン(40)は違う。アメリカ大統領選で投票を呼びかけ、自身もバイデン大統領に一票を投じたメーガン妃が、今度は民主党のナンシー・ペロシ下院議長とチャック・シューマー上院院内総務宛てに公開書簡で政策を具申し、各方面から非難を浴びている。
「THE OFFICE OF The Duke and Duchess of Sussex(サセックス公爵・公爵夫人の事務所より)」と大書された書簡では、「私は議員でもなければ政治家でもありませんが」と前置きした上で、パンデミックで多くの働く母親が職を失い、困窮していることを指摘。
自身もレストランチェーン店シズラーの4.99ドルのサラダバーを食べて育ったことや、13歳で働き始め、ウェイトレスやベビーシッターなどで生活費を稼いでいたことなどのエピソードを紹介し、「生活の糧を得ることと、子どもの世話をすることの間で選択を迫られる家族があってはならない」として、有給の育児休暇を創設すべきだと公開書簡で主張している。
ミズーリ州選出の共和党ジェイソン・スミス下院議員はDaily Mailの取材に対し、「マークル夫人によるこのアメリカ政治への干渉で、なぜ英王室が彼女とハリーの称号を公式に剥奪しないのかという私の心の中の疑問が再燃しましたよ。
彼女はサセックス公爵夫人という立場でこれを送りつけていますからね。女優業に専念しろと言いたいですよ」と語った。
スミス下院議員と言えば、昨年10月、英王室に対し二人の称号を剥奪するよう要請した人物だ。
また、ミシガン州選出のリサ・マクレーン下院議員も、「メーガン・マークルは、アメリカ市民の実態を驚くほど把握できていません。
政治ではなく、演技のお仕事を頑張られては? 裕福なリベラルが押し付けてくる課題など、我々アメリカ市民には最も不要なものです」とDaily Mailの取材に対して厳しい言葉で批判した。
英王室の伝記を手がけるジャーナリストであるアンジェラ・レヴィンは、「公爵夫人はアメリカ市民ではありますが、『サセックス公爵・公爵夫人事務所』からの『私の家族であるアーチー、リリ、そしてハリーを代表して』と署名された手紙は、イギリスの肩書と王位継承順位6位の人物との結婚を利用してアメリカの政治に干渉したと見なされてもおかしくありません」とDaily Mailへのコメントで指摘している。
現在は疎遠となっている実父トーマス・マークルが、彼女を私立学校に通わせていたこと、複数の企業と巨額の契約を結び、一等地の豪邸に住んでいることなどから、Twitterにはメーガン妃を鼻白む声が多く上がっている。